ビジネススクールで学ぶベトナムの若者と話した(学校提供)

横浜市立南高校(神奈川)は「ソーシャルビジネスを通じた東南アジアの課題解決」を目標に掲げて研究している。夏休みには1、2年生が現地研修を通じて文化の違いを学び、東南アジアにおける日本のビジネスの在り方を考えた。

ベトナムでのイベント企画を構想

2年生8人が8月、ベトナムの日系企業などを訪問した。山崎楓さんが一番心に残ったのは、エンジニアなどを目指す20代前半の若者たち。日本での実習を目標に、日本語や生活習慣などをビジネススクールで懸命に学んでいた。「日本に行きたいという熱意や積極性に圧倒された」と山崎さん。「日本の技術力について、日本人の私よりも詳しくて驚いた。グローバル化を目指す私たちも海外にばかり目を向けないで、まずは日本のことをもっと学ばなくてはいけないと気づいた」と振り返った。

ベトナムを訪問した8人を含む2年生20人は、グループごとに具体的なビジネス構想も練る。山崎さんらのグループのテーマは「若者も参加できるイベント企画」。ダンス部に所属する山崎さんは「日本でもダンスのイベントは参加費が高いなどの理由で、若い世代はなかなか参加できない。経済発展の著しいベトナムでも、若い世代が抱える課題は同じはず」と考えた。「現地の意見も聞きながら、来年1月に発表する資料をまとめたい」と意気込む。

シンガポールの高層ビルに注目

一方、1年生8人は8月、シンガポールを訪問した。建築や美術に興味のある阿久津凪砂さんは、シンガポールの高層ビルに着目。「3つの細長い超高層ビルを連結した屋上にプールがあったり、日本よりも大きな窓ガラスが高層階まで使われたりして、不安定で危険に見えた」という。だが、現地の日系損害保険会社からの説明などを受け、シンガポールは地震や津波といった災害が少ないことを知り、立地に応じた建築であると納得した。

(山口佳子)

2015年にSGH指定。夏休みの現地研修は各学年8人のみの参加だが、1、2年生の全生徒を対象とした年数回の講演会や修学旅行との連動などに学校全体で取り組む。