都市デザインを発表する小林さん(6月17日、上田高校主催の北陸新幹線サミット)

 

長野・上田高校の小林美緒さん(3年)は、日本人が幸せに暮らせる都市デザインを考えた。(文・写真 野村麻里子)

ボストンとの違いに驚き

今年3月、米ボストンへフィールドワークに行き、マサチューセッツ工科大学で持続可能な都市デザインのプレゼンなどを経験した。「ボストンは知らない人同士が道であいさつするなど楽しそう。日本と雰囲気が違って驚いた」

帰国後、日本と米国、発展途上国としてフィリピンを比較すると、日米はフィリピンに比べ、医療・教育・経済活動が充実する一方、国内総生産(GDP)を抜けば幸福度(幸せの度合いが0~10のどの段階かを答える世論調査での平均値)は日本よりフィリピンの方が高かった。「医療や教育、経済の充実だけが幸福感に直結しないと分かった」

内閣府の調査結果から、日本人が幸せと感じる要因は「仕事や育児、人間関係のストレスがなく、困ったときに相談できる人や子どもなど周りに人がいること」と定義。この価値観を街づくりに生かす方法を模索した。

人のつながりを重視するため「街の中心に図書館や公園など憩いの場を作る」「病院や介護施設を住宅地付近に造る」、ストレスを減らすため「職場に託児所を設置する」「決まった席を設けないなど、職場の社内環境の改善」が必要と考えた。「今後は大学で都市デザインを学び、暮らしやすい街づくりをしたい」と将来を見据える。