清水富美加さんは、中学2年生で芸能界デビューし、20歳の今は、NHK連続テレビ小説「まれ」をはじめ、さまざまなドラマや舞台、映画で活躍中だ。女優の道で生きていくと決めたのは、高校3年生の時。進路に悩み、自分と向き合った末の決断だった。
(文・山口佳子、写真・幡原裕治)

高校3年生の決断

バラエティー番組などで活躍していた清水さんが、女優としてデビューしたのは高校2年生。「仮面ライダー フォーゼ」のヒロイン役だ。「その時は女優としてやっていこうなんて、全く思っていなくて」と振り返る。「撮影期間が長かったので、体力的にも精神的にも疲れて、撮影が終わったら辞めようと思っていました」

約1年半の撮影が終わった時、年の近い共演者たちの演技がとても上達したのが分かった。「自分も負けたくない。もっとうまくなりたい」と思っている自分に気付いた。ちょうど高校3年生の夏。「高校を卒業したらどうするの?」と、初めて自分自身と向き合う。「自分に必要なのは、お金でも時間でもなく仕事。女優として頑張っていこう」と、ぎりぎりで思い直した。「仕事ってどういうものだろうと真剣に考え始めて、そこから自分が変わったような気がします」

打ちのめされるのも経験

その後の道のりは、簡単ではない。「女優は、オーディションを受けるなどして、自分で仕事を取っていかなくてはいけない職業。常に成長し続けなくてはいけないので、今も全然余裕がありません」

 「まれ」では主人公・希の同級生・一子を演じる。「一子は、言いたいことをはっきり言える強い女の子。文句を言われるのが怖いから、何も言わないでいようと思う気弱な私とは、真逆の性格です」。一子になりきるため、撮影現場に早めに入るよう心掛けるが、自分の演技を振り返って落ち込むことも多い。

 「今はまだ、人目を気にしてお芝居が小さくなってしまっていると感じるので、いつか突き抜けた役を演じて、どこまでできるのか挑戦してみたい。『できない自分』に打ちのめされる経験も、上達につながると信じているから。まだまだ20歳。挑戦し続けたいです」

しみず・ふみか
1994年生まれ、東京都出身。2008年に芸能界デビュー。5月9日公開の映画「ズタボロ」ではヒロインを演じる。趣味はギター。SHISHAMO、KANA-BOONなどの曲が好き。