ジュート素材のエコバッグをデザインした中谷さん。普段使いもできるサイズという

大阪・泉北高校の中谷有希さん(3年)は昨年8月、学校の海外研修でマレーシアに行き、現地の高校生が身近な環境問題を解決した取り組みを聞いた。帰国後、レジ袋の使用量を減らすために、おしゃれなエコバッグ作製を決意。同校の全生徒・教員にアンケートを取り、実現に向けてアイデアを練っている。(文・写真 木和田志乃)

マレーシアの生徒に触発

マレーシアで訪問した高校では、生徒たちがペットボトルの消費量を減らすため、水筒の持参を習慣づける「ウオーターボトルウイーク」を設定。水筒を持参する生徒が増え、同校でのペットボトルの消費量は半減したという。

その話を聞いた中谷さんは、自校の生徒たちが学校近くのコンビニエンスストアで昼食を買ったときのレジ袋の大半が捨てられている現状を思い出し、「女子高校生が持ちやすい、おしゃれなエコバッグを作ろう」と考えた。

販売されているエコバッグの多くがスーパーでたくさん購入するときに使うものでサイズが大きく、少量を買うコンビニの利用者には使いにくい。そこで、全校生徒と教員合わせて640人に、コンビニの利用頻度や買うものなどについてアンケートを取った。その結果、肩掛け付きでB5判横長サイズや、B4判が入る縦長サイズのバッグが使いやすいと分かり、デザインを始めた。

南アジア産の生地を採用

当初はナイロン素材で作る予定だったが、3月に開催されたSGH甲子園(関西学院大学など主催)で発表したところ、来場者から「土中に埋めれば土に返るジュート(黄麻)を利用してみてはどうか」と提案され、取り入れることにした。南アジアで生産されているジュートは仕入れ方法や加工の可否など課題が山積みだが、「ジュートのバッグであれば、傷んできたらごみ袋として利用できる。自然素材はデザイン面でも優れている。ぜひ実現して事業化させたい」と意気込む。

「何かを生み出そうとするとき、世界に目を向ければ日本にないものを発見でき、たくさんのアイデアや意見が聞けます」と話す。視野を広げれば可能性が広がることを実感しながら、当面はビジネスコンテストへの応募を目標に試作品作りに励むつもりだ。

【泉北高校】2015年度にSGH指定。国連の「持続可能な開発目標」17項目から各自設定した課題研究と複数言語の運用能力を通じ、グローバル・リーダーの資質を育む。