若手女優として注目を集める杉咲花さんは、現役高校生。青年と少女の淡い恋を描く映画「トイレのピエタ」でヒロインを演じる。女優の仕事には厳しさがついて回るが、「撮影現場こそが自分らしくいられる場所」と力強く語る。
(文・中田宗孝、写真・幡原裕治)

 

ダメ出しに泣いたことも

杉咲さんが演じる「トイレのピエタ」のヒロイン真衣役は、何度も実施されたオーディションに参加した末、やっとつかみとった大役だ。撮影現場で待っていたのは、監督からの厳しい演技指導だった。
 
「リハーサル中、監督から『それは真衣じゃない!』と、何回も叱られました。『声の〝揺れ方〟が違う』『真衣が全然違う』『真衣だけが違う』……。ダメ出しの連続で、悔しくて泣いたこともありました」
 
 良い作品を目指す情熱からのダメ出しであることは、分かっていた。与えられた役と向き合う日々が続いた。
 
 「そんな時、ようやく監督から『真衣をつかんだね』と声を掛けてもらえた。現場に入ってからは、撮影後も引きずり、家に帰っても自分ではなかった。私は真衣として生きていたんだと思います。この経験は大きな自信になりました」

自分らしく、挑戦したい

「学校のランチの時間って、なぜうれしくなるんでしょうね!」と笑顔で話す高校生らしい一面も。女優の仕事に没頭することもまた、「17歳の自分」だという。
 
 「周りに流されず、好きなことに挑戦していきたい。もちろん、身近な人たちに気を使うのはとても大事なこと。でも、誰にも遠慮はしたくない。今の私は、お芝居をするのが一番楽しいし、撮影現場で頑張ることが自分らしさにつながると思っています」

相手を信じて、自分を出して

同年代の高校生にも伝えたい、秘めた思いがある。
 
 「みんな強い個性があり、自分らしさを持っているはず。でも恥ずかしがり屋で、自分をうまく出せないと悩んでいる人も、中にはいると思う。もったいないです! 早く自分の魅力に気が付いてほしい」
 
 どうすれば消極的な自分を変えることができるのだろう。
 
 「まずは、相手を信じることだと思います。とても難しいですが、それができれば自分は変われるんじゃないかと思えます。学校は同年代がたくさん集まる、なかなかない空間なので、そこでのいろいろな人たちとの出会いを、私も大切にしていきたいです」

すぎさき・はな 1997年10月2日、東京都生まれ。志田未来に憧れて女優の道へ。主な出演作は、ドラマ「夜行観覧車」「学校のカイダン」、映画「繕い裁つ人」。家入レオの9thシングル「miss you」のプロモーションビデオ(PV)に出演。6月20日には、出演映画「愛を積むひと」の公開も控える。ブログhttp://ameblo.jp/sugisakihana/

 

(高校生新聞 2015年5月号から)