全国高校総体陸上女子200mで優勝した齋藤愛美

全国高校総体(インターハイ)陸上の女子200メートル決勝が8月1日にシティライトスタジアムで行われ、齋藤愛美(岡山・倉敷中央2年)が23秒60(向かい風1.2メートル)で優勝し、100メートル、4×100メートルリレーとの「短距離3冠」を達成した。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

向かい風が新記録阻む「心の中で叫んだ」

大会2日目の100メートル、3日目の4×100メートルリレーに続く3種目目。周囲が当然のように3冠を期待する中、「200メートルは一番大好きな種目。自信を持って臨みました」と、いともあっさりと偉業を成し遂げた。「自分との勝負と思っていました。とにかく記録を狙っていました」と齋藤。

準決勝ではただ一人、23秒台(23秒99、向かい風0.2メートル)をマークし、決勝は6月の日本選手権で自らがたたき出した高校記録とジュニア日本記録(23秒46)を追いかけた。号砲とともに飛び出し、ホームストレートに入った時点で2位以下を大きく引き離して勝負を決めた。ただ、100メートルの決勝と同様、向かい風が記録達成を阻んだ。齋藤は「風が強くて途中から前に進まないんです。心の中で『ふざけんな!』と叫びました」と取り囲んだ報道陣を笑わせた。

「この優勝、先輩に届けたい」

昨年のインターハイでは1年生ながら決勝に進出。当時倉敷中央の3年生だった三宅真理奈(現・甲南大)と「『ワンツー』でゴールするのが夢でしたが、それができなくて悔しかった」と振り返る。

以来、この舞台で勝つことを目標に突き進んできた。冬季練習は休養日を除き、一度も休まなかった。200メートルを走り切る練習では、いつも設定タイム以上でゴールすることを意識したという。たゆまぬ努力が実を結び、齋藤は「この優勝は誰よりもまず三宅先輩に届けたいです」と話した。

地元ということもあり、走っている時や優勝を決めた瞬間はもちろん、スタート前の選手紹介や表彰式など、齋藤への声援はいつも誰よりも大きかった。「すごく拍手が大きくて幸せだなと感じました。地元だからこそ勝てたのかもしれません」。多くの人たちに感謝しながら、とびきりの笑顔がはじけた。