「東京でオリンピック・パラリンピックが開かれるまでに、外国人に優しい街になるにはどうすればよいか。高校生の視点で一緒に研究しましょう」
5月末。昨年からスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受ける筑波大学附属高校(東京)の体育館で、男子生徒が発表していた。
今春から2年生全員が取り組む課題研究は「オリンピック・パラリンピックにおける諸課題」「地球規模で考える生命・環境・災害」「グローバル化と政治・経済・外交」の3つの枠組みが設定されているが、具体的な研究テーマは生徒が自分で考える。グループでの研究が原則のため、生徒は自分が関心のあるテーマを発表し合って仲間を募った。
体育館を出て教室をのぞくと、経済をテーマにしたい生徒が集まっていた。「海外投資」をキーワードに研究しようと決めた4人グループの1人、齋木虎之介君は「企業は、自分たちが社会に出たら関わりが深くなる。実際の企業の活動や政策も調べたい」と意気込みを見せた。
「生命・環境・災害」の生徒が集まった教室では「地震予知をテーマにしたい」「外国と日本の医療の違いを調べたい」など、生徒同士でテーマを話していた。
独自のデータがあってこそ
原則、週1時間「SGHスタディ」の時間があるものの、研究は授業以外の時間で進め、3年生の夏休みまでに論文にまとめる。熊田亘先生は「論文には、先行研究にない新しさが必要。そのためにインタビューや観察などで独自のデータを見いだしてほしい」と期待する。
1年生は「プレゼンテーション」「グループでのアイデア出し」「論文執筆」など研究の方法を1年がかりで学び、2年次の研究に備える。夏休みには、2・3年生の23人がカナダの大学で学び、3人がシンガポールである「アジア太平洋青少年リーダーズサミット」に参加するなど、生徒有志向けの海外研修の機会もある。
(文・写真 西健太郎)
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