神戸大学附属中等教育学校(兵庫)の4、5年生(高校1、2年生)約30人は、震災後の復興や防災について調べ、学んだ教訓を社会に発信するために研究している。7月31日から8月2日にかけて、希望した5人が東日本大震災の被災地の現状を知るため、宮城県を訪れた。
南三陸町では住民から、阪神・淡路大震災の被災者がいち早くボランティアに駆けつけてくれた話を聞き、支援の輪の広がりを知った。松村咲良さん(5年)は「『何もかも失ったが、これを機に過疎化した町をゼロから世界一の町にしたい』という言葉に刺激を受けた。実際に(被災)現場を訪れる大切さを学んだ」と話す。
防災伝える難しさ共有
仙台青陵中等教育学校の生徒とは震災の記憶を後世に伝える方法を議論した。同校防災委員会から「校内で避難訓練や安全点検、標語コンクールなどを実施し、防災意識の向上を目指しているが、震災から5年がたち、伝える難しさを感じる」という話を聞いた。神戸の震災と復興について学んできたリーダーの山本隼矢君(5年)は「同じ悩みが共有できた。災害の経験を次に生かすために、東北で見聞きしたこともしっかり周囲や社会に発信したい」と振り返った。
これまでの研究成果は、11月に高知県で開催される「世界津波の日 高校生サミット」で30カ国357人の高校生らの前で発表し、震災後の復興や防災について議論する。
(新海美保)
■2015年にSGH指定。「神戸から発信する『地球の安全保障』への提言」を全体テーマに4領域に分かれて研究。論文執筆のほか、国内外の高校生と交流するフォーラムなどを生徒が実施する。