昆虫班とラン科班に分かれて活動する中央学院高校生物部。部員たちは生命の尊さに触れながら、生き物を守るために地道な活動を続けている。(文・写真 小野哲史)
自然公園で毎日、昆虫採集
昆虫班のメーンの活動は、学校周辺に広がる自然公園「谷津ミュージアム」の調査。鈴木智之君(3年)は「昆虫を採集し、先輩たちが作った昨年までのデータと比較することで、公園の環境の変化を見ています」と説明する。
昆虫がいない冬は標本作りが主な活動となり、春から秋は雨でない限り、ほぼ毎日採集に出る。ただ、データはまだまだ足りないため、いかに効率良く大量に採集できるかが目下の課題だ。「細かい虫や形が崩れやすいチョウなどを、きれいな標本にするのは大変です。でも、見たことのない珍しい昆虫を採れたときは、新しい発見ができたようで楽しい」(鈴木君)
ランの保護は外部団体と協力
ラン科班は1976年の創部以来、ラン科植物の無菌培養に関する研究を続けてきた。中でも小笠原諸島(東京)の絶滅危惧種・アサヒエビネの保護増殖は、東京大学の附属施設である小石川植物園や地元の研究会と協力して20年間取り組んできた。地元民中心の保護体制が整ったことで、部員の研究は2012年度にひと区切りしたが、今も外部団体から協力の依頼がある。
現在は成東・東金地区や静岡県伊豆諸島、インドネシア・ボルネオ島のランを無菌培養によって保護している。川上翔子さん(3年)は「無菌状態で作業するための装置は、菌が入ると植物がカビてしまう。扱いに細心の注意が必要です。でも、移植した植物がきちんと育ってくれるとうれしい」と笑顔で話した。