練習から激しく粘りのあるディフェンスを実践する

2月に開かれた関東高校新人大会で男子3位に入賞した高崎(群馬)バスケットボール部。県内屈指の進学校は、短い時間を有効活用する、「量よりも質」の練習にこだわって力をつけてきた。全国高校総体(インターハイ)を最大の目標に定めて、密度の濃い日々を送っている。(文・写真 三上太)

集中力途切らせず

高崎は、多くの卒業生が難関大に進む進学校で、朝には補講がある。そのため、部は朝練の時間が取れない。平日の練習は、放課後の2時間から2時間半のみ。土日の練習も3時間。自主練習は、チーム練習後に最長1時間のみと、決して長くない。バスケ部が専用で使える体育館があるが、部員は34人いるため手狭にさえ感じられる。

それでも部員は、限られた時間と空間を有効に活用して力をつけてきた。特別な練習をしているわけではない。ファンダメンタル(基本練習)を繰り返し、その中で相手の動きを読むことや、股関節を曲げた正しい姿勢で素早く動き出すことに意識を向けている。

練習は5〜10分間隔でメニューが次々に変わっていく。しかし、選手たちの集中力が切れることはなく、常に体育館に声が響き、練習の熱が伝わる。

主将の毛呂駿臣(3年)は「長い時間、練習すれば強くなれるとは思っていない。短い時間をいかに使うか。大切なのは量ではなく質です」と言う。

文武で刺激し合う部員たち

学校は生徒に、勉強と部活動を両立する「高いレベルの文武両道」を求めている。それを最も体現しているのが、医学部進学を目指す毛呂だ。「いかにダラダラした時間をなくすか。高崎に入学して、時間の使い方がすごく勉強になっています。部活を終えて夜9時に帰宅した後、自分で決めた勉強を必ずやっています」

部員には東大志望者もいて、互いに「文武」で刺激を与え合う。「できない言い訳」を作らないのが共通認識だ。

学校生活の全てを凝縮した「高高(高崎の通称)スタイル」で、インターハイ出場を目指す。

 

 

「指示される前に動けるチーム」(渡部健一郎監督)

今年のチームは、選手たちが「勝ちたい」気持ちを出し、私から言われる前に自分たちで考えて行動できます。

練習メニューのローテーションなど細かい点まで私が指示するのではなく、どうすれば効率的に練習できるかを彼らが考えて実践しています。

学校は、東大をはじめとしたトップクラスの大学入学を目指しながら、部活動でも結果を出す「高いレベルの文武両道」を求めています。そのため、今年の選手 は、勉強の時間さえ「バスケットで効率的に練習を進める方法を考えるためのトレーニング」ととらえる頭の良さも持ち合わせています。

 
【TEAM DATA】
1897年学校創立。創部年は不明。部員34人(3年生19人、2年生15人)。昨年の県ベスト16から大会ごとに成績を上げ、新チーム初の県大会となった新人大会で優勝。2月の関東新人大会で3位に入賞。部訓は「戮力協心(りくりょくきょうしん)」。