カンボジア・アンコールクラウ村での水質調査の様子(写真提供・仙台二華高校)

宮城県仙台二華高校の2年生47人は「メコン川の水問題」の課題研究に取り組んでいる。そのうち6人が8月1日から11日間、タイとカンボジアを訪れ、メコン川の水質や生態系、流域の住民の暮らしなどを調べた。

飲料水や排水の課題を発見

タイでは、エビ養殖場にするためマングローブ林が伐採された現場などを見学した。「良質な飲料水の確保とインフラ整備」を研究する清水桃奈さんは、タイの家庭に寄付されたカナダ製の浄水装置を調べた。「故障して使えない装置もあり、修理のしやすさも重要だと分かった」と話す。

 カンボジアでは、東南アジア最大のトンレサップ湖で、水上集落の暮らしや生活排水の影響などを調査した。「トイレの衛生環境」を調べている小関綾乃さんは、屋外排せつが多く、毒ヘビの注意が必要なトイレ事情を取材。「子どもたちもトイレを利用しているので、早く何とかしてあげなければ」と力を込める。

「決め付け」でない支援を

現地の人々へのインタビューを通じて、生徒たちが「意外」と感じたのは、多くの人が水環境に不安があっても、住んでいる地域に愛着と誇りを持ち、生き生きと暮らしていることだった。町屋綾佳さんは「水問題で困っているはず、と一方的に決め付けていた。本当に必要な支援を考えるため、もっと世界のことを知りたくなった」と話す。

 12月には、新たに参加者を募り、再びメコン川フィールドワークを実施予定だ。その内容も盛り込み、年度内に47人全員が論文を書き上げる。

(阿部理)

2014年にSGHに指定。「世界の水問題解決への取組」をテーマに、1年生は北上川(岩手・宮城)、2年生はメコン川、シンガポール・マレーシア、グアムのいずれかを選択し、課題研究に取り組む。