地元の病院の小児科医からも聞き取りをした(写真は学校提供)

柏原(かいばら)高校(兵庫)で3月5日、SGHアソシエイトとしての取り組みを報告する「地域課題から世界を考える日」が開かれた。「知の探究コース」の2年生38人は、6班に分かれて取り組んできた地元・丹波地域に関する研究の成果をポスター発表した。

このうち、「地域医療研究班」7人は、丹波市の少子高齢化、医師不足、患者の市外流出といった問題を打開する方法を探った。まず、地元の丹波新聞を取材。井本日和さんは「安心して医療を受けたい地域住民の立場と、過重労働に陥っている医療従事者の両方の悩みを知り、この研究を進める大きな一歩となった」と語る。7人は市役所、ボランティア団体、地元病院などへの取材を重ね、意見をまとめた。

生徒の提案に議員も関心

医療従事者の定住化を進めるため、空き家になっている古民家を再生し安価で提供する案や、現在ある看護専門学校を医療系公立大に発展させ、地元で学び働く場とする案などをまとめた。報告会では、提案を聞いた市議会議員が予算について尋ねるなど、提案の具体化に向けた質問が相次いだ。

谷垣隼大君は「研究を進める中で地域医療の大切さを学んだ。医療の勉強を進め、地元の役に立てるようになりたい」と話す。課題研究は終わったが、今後も課外で市議との話し合いの場を設けるなど、地域医療に貢献したいという。

(新居康俊)

2014、15年度とSGHアソシエイト校に選定。「地域に学び、地域から世界へと発信していくグローバル人材の育成」をテーマに地域課題を研究する。