左から築田さん、村田君、宇治君、化学を担当する志賀裕樹先生

2009年からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている千葉県立船橋高校。生徒は、学校独自のカリキュラムで学びながら、課題研究ではユニークなテーマの研究に取り組んでいる。(文・写真 青木美帆)

午後9時まで研究
 自ら設定したテーマを追究する「課題研究」や、生物・地学分野の「野外実習」、一流科学者による「特別講座」といった授業などを通じ、「自ら問題を設定し、解決する力を身に付けること」が同校SSHの狙いの一つ。理数科だけでなく、普通科の生徒も受講できるのが特徴だ。

特に力を入れているのが、週2時間ある「課題研究」。1年時は半年、2年時は1年をかけて「理科」「数学」「情報」の中から1つを選び、個人またはグループで研究に取り組む。研究テーマは指導する先生と相談しながら自分たちで決める。

授業だけでは時間が足りないことも起こる。発表会前は、毎日午後9時ごろまで、教室の明かりがともる。

ゴキブリと過ごした1年半
 将来、原子力発電所などで活躍する「極地用ロボット」の開発を夢見る村田寛斗君(3年)は「クロゴキブリの歩行速度と脚の動きの関係」をテーマに、1年時から研究を続けた。「ゴキブリの脚が、いかに滑らかな動きに適しているのか、徐々に分かってきた。将来のロボット開発にも生かせるかもしれない」と目を輝かせる。

「流体を詰めた物体の加速度について」の研究をした宇治大智君(3年)は「問題を掘り下げていくと必ず壁にぶつかる。それでも諦めずに続けていると、年に1、2回、合点がいく瞬間がある。今後の自分の人生に大きく生きる経験ができた」と話した。

科学と英語で国際交流
 同校では2013年から、台湾での海外研修を実施している。昨年度は3月16日から21日までの日程で18人が参加。生徒たちは課題研究の成果を英文にまとめ、現地の高校生や大学生に英語で発表した。築田理華子さん(3年)は「英語はあまり得意でないので大変だったけど、相手の表情をうかがいながら、困った時はジェスチャーや漢字を使い伝えることができた」と話した。

 ◆スーパーサイエンスハイスクール(SSH)

文部科学省より指定を受けた、将来の国際的な科学技術人材を育成するため、先進的な理数教育を実施する高校。今年度は全204 校。各校で作成した研究開発の計画に基づき、独自のカリキュラムによる授業や、大学・研究機関等との連携講座に取り組む。科学技術振興機構から活動推進に必要な支援を受ける。