食糧問題について発表した京都学園高校のグループ

関西学院大学(兵庫)は3月21日、近畿のSGH校・SGHアソシエイト校が集う課題研究発表会を開催した。2府4県27校の高校生106グループが参加し、海外フィールドワークに基づく途上国の問題や、地域の活性化など、多様な問題を解決するためのアイデアを発表した。
(文・写真 新海美保)=学年は開催時

海外工場の労働環境は?

口頭発表には22校の代表が参加した。千里高校(大阪)の中島佳奈さん(2年)は「ファストファッションを支える下請け工場の実態」をテーマに英語で発表。「私たちが着ている服が作られる背景には、海外の過酷な労働環境があると授業で知った。ショックを受け、実態を調べたくなった」と動機を語る。中国にある日本の衣料品メーカーの下請け工場を調査したNPOの報告書や、指摘を受けたメーカーの改善の取り組みについて分析結果を発表した。

帰国子女の適応問題に注目

葺合(ふきあい)高校(兵庫)の大坪直央さんら2年生3人は、帰国子女が直面する問題に注目し、「Returnees’ Adaptation Issue(帰国子女の適応問題)」をテーマに英語で発表。「言語や習慣の問題など、日本での生活に悩む帰国子女が、ちゃんと適応し能力を発揮できるように」と主張。ウェブを活用した帰国子女向けの教育サポートを提案するとともに、多様性を持った日本社会をつくる意義も説いた。

アプリで途上国に寄付を

ポスター発表には、24校84グループが参加し、主に1年生が研究成果を披露した。

SGHの授業で世界の飢餓について学んだ京都学園高校のグループは、「足元から見直そう」と日本の食糧問題について調べた結果、廃棄量が途上国への援助量を上回ることが分かった。そこから、外食の際に食べる量を選択することで廃棄量を減らし、その分を途上国へ寄付できるアプリの開発を提案した。リーダーの渡部美沙さんは「実際にアプリの開発をすると資金面などハードルが高いが、気軽に寄付ができる方法を目指したい」と話した。

県を盛り上げようと商品開発

SGHアソシエイト校の和歌山信愛高校は、「防災」「経済」「産業」「医療」という和歌山県が抱える4つの課題について、それぞれ大学・行政・企業と連携しながら考えた。経済問題については、空洞化が進む中心市街地を活性化させようと取り組んだ、県の特産品、梅干しを使った「梅肉まん」などの商品開発・販売の成果について発表した。
 県内の医師数の偏りについて現状や対策を調べた丸山紗利奈さんは「地方のマイナスイメージをなくし、人が増える方法を考え続けたい」と話していた。