東ティモールでコーヒー豆の収穫を体験(学校提供)

東京・青山学院高等部の生徒有志による団体「ブルーペコ」は、東ティモールのコーヒー豆や、農家の置かれている状況などについて学んできた。実際に現地でコーヒー豆の収穫や加工を体験。豆の売買が適正に行われていない原因は教育にあると考え、学習雑誌を自分たちの力でプレゼントする計画を進めている。

豆の収穫・加工を体験

ブルーペコは毎年、文化祭で東ティモールのコーヒー豆を販売。より詳しく東ティモールのことを知るため、コーヒー農家の支援を行う研究家を学校に招き勉強会を開くなど、知識を深めてきた。 代表の三國典明君と副代表の松本貫佑君(ともに3年)は昨年8月、現地の山間部の村にある農家を訪問し、実際に豆の収穫や加工を体験した。渡航前、「農家の人々は、コーヒー豆の生産はお金を得る手段としか考えていないのでは」と思っていたが、実際は違ったという。高品質にするため豆の乾燥具合にこだわり、「一番楽しいのはコーヒー豆の作業」と答える農家の人の姿に感銘を受けた。「仕事を愛し、誇り高く生産していた」(三國君)

小規模な農家が手作業で生産し、何度も豆の選別を行っているため、品質が高い。だが、教育環境が整っていないため、複雑な計算ができず、安く買いたたかれてしまっている。「現状を変えるには、農家の教育水準を上げる必要性を感じた」(松本君)

東ティモールの農村で村人と交流(学校提供)

学習雑誌の購入資金を調達

帰国後、学習雑誌を1000冊贈呈することを目標に掲げて活動した。文化祭ではコーヒー豆のほか、東ティモールの民芸品などを販売。売り上げは出店団体トップの32万円で、前回の文化祭と比べ8倍にもなった。10月には東ティモールの歴史を描いた映画を上映するチャリティーイベントを開き、文化祭との合計で目標を上回る1110冊分の購入資金を調達できた。

また、校内でコーヒーの試飲会を開き、生徒が農家に「Di’ak(おいしいの意味)」とメッセージを伝える動画を撮影した。学習雑誌と動画は今年の夏、後輩が届ける。2人は「卒業後も東ティモールを支えたい」と話す。再び現地に行くことを計画しているという。(野村麻里子)

東ティモールで子どもたちと(学校提供)

2015年にSGH指定。平和・共生の学習や姉妹校との交流などを実施。ブルーペコは07年に発足。メンバーは66人(16年12月時点)。イベントを開催する時に頻繁に集まって活動している。