4人の心が一つになり、絆を体現した温かいハーモニーが響き渡った。3月20日に盛岡市で開かれた全日本アンサンブルコンテスト高校の部で、大阪・東海大学付属仰星高校吹奏楽部のクラリネット四重奏が銀賞を受賞した。(文・写真 木和田志乃)

演奏したのはデュファイエ作曲「オーディションのための6つの小品」。部内オーディションで4人が選ばれた。放課後は部の全体練習があるため、朝7時から練習に励んだ。

ここまでの道のりは平たんではなかった。昨年12月下旬、関西大会への出場を懸けた大阪府大会の3日前に、福原奈菜さん(2年)が「大会に出ない」と言い出した。勉強と部活動の両立で悩んでいたのだ。

話を聞いた部長の大畑奈津実さん(2年)は「口もききたくないほど」怒りに震えたが、大会や部への思いを福原さんに率直に話した。福原さんは「4人の合奏練習中、音を出さずに静かにしてくれた他の部員たちの応援を思い出した」と気持ちを入れ替え舞台に立った。結果は金賞だった。

危機を乗り越え「心の距離が縮まった」(大畑さん)4人は、関西大会でも実力を発揮し、全国大会の出場権を獲得。その大舞台でタイミングの合った会心の演奏を披露し、銀賞を手に入れた。福原さんは「部の仲間の応援が支えになった。みんなで取った銀賞です」と感謝している。