LINEを「すぐに返信しなければ」という気持ちが強いと、スマホを手放せなくなることもある。LINEに依存しすぎず、上手に利用するためのポイントを精神科医の松本俊彦さんに聞いた。(安永美穂)
「居場所がない」思いが根底に
―「LINEが来たらすぐ返信しなきゃ」とスマホを手放せない高校生もいます。このように考えてしまう理由は?
「LINEをすぐ返さなきゃ」と焦るのは、「このグループでうまくいかなかったら居場所がなくなる」という思いが根底にあるからではないでしょうか。部活の仲間、勉強の話ができる仲間、趣味が同じ仲間など、いろいろなグループに属しておくと、それほど焦る必要はなくなるはずです。
なお、LINEにすぐ返信しないと怒りをぶつけてくる人は、「相手には相手の都合がある」という意識が低い傾向があります。友達付き合いを続けると傷つくことが多いため、注意した方がよいでしょう。
睡眠が取れないなら依存のしすぎ
―LINEの利用に関して、どのような状況になると「依存症的(※)」と言えるのでしょうか?
親しい人との間で何か特別なことがあった時などに、夜遅くまでLINEのやり取りを続けてしまうのは、やむを得ないことだと思います。ただし、日常的に夜通しLINEを続けていて、睡眠が取れなくなっている場合は「依存症的」だと言えます。LINEは学術的に正式な依存症とは認定されてい一番ませんが、依存症的な症状を示すケースはあると考えられます。

前もって「終了時間」を決めよう
―友人から頻繁にLINEが届く場合、どう対処すればよいですか?
つらい気持ちを抱えている友人から毎日のようにLINEが送られてきている場合は、返信を少しずつ遅らせたり、「30分後に予定があるから」と前もって終了時間を決めたりしてください。自分のペースを守ることが大切です。
「相手にとって迷惑かも」という視点を持って
―では、自分が友人にLINEで悩み相談をする場合に注意すべきことはありますか?
「相手にとって迷惑かもしれない」という視点で自分の行動を振り返ることが必要です。ポエムのような長文を友人にLINEで送ることはやめて、SNSの鍵付きアカウントなど自分しか読まないところに思いを書き留めることで、感情を整理していきましょう。
通知は届かない設定にしておこう
―依存せずに、うまくLINEと付き合っていくには?
LINEの通知が届く設定にしていると気になってしまうので、スマホがロック画面になっている時にはLINEのメッセージのプレビューが表示されない設定にしておきましょう。LINEを確認するタイミングを自分で決めておくと、「LINEの返信で忙しくて他のことが手に付かない」という事態にはなりにくいはずです。
―グループLINEで意識すべきことはありますか?
LINEのグループ内で頻繁にやり取りをしている場合は、返信のスピードを遅くすることが大切です。例えばこれまでグループの中で最初に返信していたのであれば、皆が返信を終えるのに近いタイミングで返信するなど工夫しましょう。
そのペースに慣れてきたら、返信しない回数を少しずつ増やしていくと、程よい距離でLINEと付き合えるようになるのではないでしょうか。
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松本俊彦先生
まつもと・としひこ 精神科医。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長、同センター病院薬物依存症センター長。薬物依存症や自傷行為に苦しむ人などを診療する。著書に『世界一やさしい依存症入門』(河出書房新社)など。
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