「あいさつカード」(下)を開発した4人
 

東京学芸大学附属国際中等教育学校(東京)ボランティア部の6年生4人は、途上国の障害児が日常生活を学ぶ教材を開発した。

部でフィリピンの小学校と交流する中で「途上国の障害児は、途上国で暮らす困難と障害の二重の困難があるのでは」(山本知花さん)と考えたことがきっかけ。昨年4月からSGHの課題研究として教材作りを始めた。

4人は、ザンビアとモンゴルの特別支援学校で活動していた元青年海外協力隊員を訪ねたり、フィリピンとベトナムにいる現役の隊員たちとメールをしたりして、現地の特別支援教育の情報を集めた。横山彩乃さんは「同じクラスの中で、年齢や障害の重さに幅があると分かった」と話す。

「生活」を学ぶ教材が必要

当初、算数や国語の教材を作ろうとしていた。だが、教材作りのヒントを得ようと日本の特別支援学校などを訪ねた際に、子どもたちが洋服の着脱を学ぶ様子などを見て「本当に必要なのは、日常生活を学ぶ教材だと思った」(横山さん)。

さらにフィリピンとベトナムの教員にアンケートを行い、現地では生活に関する教材が少ない上、あいさつが苦手な児童が多いと分かった。4人は、簡単なイラストと現地語のあいさつを表記した「あいさつカード」を作成。情報の取り入れ方に個人差があることから、絵や文字、声から学べるよう工夫した。

4人は研究を論文にまとめ、1月に校内で発表した。今後も研究を続けるかは未定だが、山本さんは「教材を現地で実際に使ってもらい、効果を確かめてみたい」と期待している。

(文・写真 堤紘子)

2015年からSGHに指定。「リスク」「葛藤と軋轢(あつれき)」「教育」を主軸に課題研究に取り組む。毎年、校内で課題研究コンテストを実施している。