俳優の鈴木福さんは、現在大学2年生でもあり、仕事と勉強を両立する日々を過ごしている。大学進学を目指したきっかけや現在のキャンパスライフでどう過ごしているか、高校生記者が取材した。(取材・大熊美尋=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・幡原裕治)

高2から大学情報を収集

―高校生からの質問です。「進路に悩んでいます。福さんが大学進学を決めたきっかけを教えてください」。

高校入学直後は、大学に進学するなんてまったく頭にありませんでしたが周囲の方々からの声もあり自分の将来の進路選択の一つとして考えるようになりました。

高2からは、大学の情報を集めるようになって、自分なりに学部や学科をいろいろ調べていくうちに、自分に合いそうな学部、面白そうな講義がある大学を見つけました。それが大学進学を決めるきっかけとして大きかったですね。

 
鈴木福さん(ヘアメイク・堀川知佳、スタイリスト・作山直紀)

大学での学びは「すべてお芝居につなげたい」

―福さんは現在大学2年生ですね。高校生のときに描いていた学生生活を過ごせていますか。

全然違います! これが正直なところ……(苦笑)。大学に入学した当初は、深い学びが得られる講義や研究に没頭する理想的な学生生活をしようと努力しましたが時間が足りなかったので大学生になってしばらくしてから、ワクワクや面白さを感じられることを学んでいこうと考え方を変えました。「講義の内容がこんなにも幅広いんだ」と知ったのは、大学生になってから初めて分かったことですし。僕は大学で学ぶすべてをお芝居につなげられたら、と思いながら学生生活を送っています。

 

「ベストの声」を一発で出したい

―日本語吹替の声優として参加したアニメ映画「野生の島のロズ」では、ロボットに育てられる雁(がん)・キラリの声を務めています。声優の仕事をする際に、心掛けていることはありますか。

これまで何度かアニメ作品の声優をしていますが、僕自身、まだまだ経験が足りないと感じています。

感情の起伏が激しい声の演技では、実写とは違い、表情や動作といったアクションを交えずに声だけで演技をしなくてはなりません。この点は難しいですし、ベストの声を一発で出せる技術を追求していきたい。

声だけの演技を磨くことは、役者として表現の引き出しの一つになりますし、今後も大事に向き合っていきたいです。

(C)2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC. 

海外作品をリスペクトし声作り

―海外作品の吹替は、日本のアニメ作品での声の演技とは取り組み方が異なるのでしょうか。

まったく違います。担当するキャラクターが、僕がオリジナルの声なのか、既にオリジナルの声があり日本語版として吹き替えるのかでは、声の演技に臨む姿勢も変わっていきます。

日本制作のアニメ作品の声の演技は、監督さんのOKがでれば、その声が採用されます。一方で、海外作品の吹き替えの場合は、僕がアフレコした声を海外の制作サイドが確認して、そこでOKにならないととり直しになります。

なので、僕自身のオリジナリティーを出した声の演技をしすぎてはダメですし、海外作品へのリスペクトも忘れてはいけません。吹き替えでの声の演技は、オリジナルに近づけることを意識しながらアフレコしています。

夢や憧れに向かって突き進もう「絶対に挑戦して!」

―読者の高校生へメッセージをお願いします。

「夢に向かう」「憧れに向かう」。ぜひ、こう思いながら行動してみてください。僕は幼少のころから「仮面ライダーになりたい!」という夢を抱いていて、ずっと心にとどめながら高校生活を過ごしていました。

あるときからは夢を描くだけでなく、本当に仮面ライダーになるために、一つ一つの演技の仕事をすごく頑張りました。それが結びついて、ついに憧れだった仮面ライダーになれたんです(22年、特撮テレビドラマ「仮面ライダーギーツ」にレギュラー出演)。

高校生のみなさんも、自分のやりたいことに突き進んでほしい。夢や憧れに向かっていってください。きっと苦しいことも多いだろうけど、絶対に挑戦したほうがいいと思います!

【取材後記】「いつかうまくいく」前向きになる大切さを感じた

高校生記者と鈴木さん

取材中、私の質問に対して本当に深く答えてくださいました。少しフランクに笑いも交えながら、それでも一つの質問に対してじっくりと考えてくださっていた姿が印象的です。

芸能活動と大学受験の両立という、私には想像もできない大変な期間を「とにかくうまくいく未来だけ見ていた」と、ポジティブなマインドで乗り切っていたことを知って驚きました。もちろん考え方だけでどうにかなることではなくて、一つ一つの仕事を誠実にこなしつつも、日々の勉強もおろそかにしなかった根性が成し得たことだと思います。夢や目標に向かう姿勢や、「がむしゃらにやってみる」という考え方はとてもすてきでした。

どんなことでも「失敗するかも…」と思っていたら本当に失敗してしまうものです。どんな壁にぶつかったとしても、どんなに現状が苦しくても、「いつかはうまくいく」と前向きに考えることは大切なんだなと改めて感じる機会になりました。(高校生記者・大熊美尋=1年)

鈴木福さんのサイン色紙&「ノート&ペンシルセット」をプレゼント!

鈴木福さんのサイン色紙を1人に、「野生の島のロズ」の「オリジナルノート&ペンシルセット」を3人にプレゼント。高校生新聞編集部LINE公式アカウントとお友達になってから、「鈴木福さんサイン希望」または「野生の島のロズグッズ希望」と明記の上、「学校名・学年・記事の感想」をメッセージに書いて送ってね。応募資格は高校生・中学生に限ります。2月28日締め切り。当選者には編集部からメッセージでお知らせします。

すずき・ふく

2004年6月17日生まれ。東京都出身。1歳で芸能界デビュー。11年放送のドラマ「マルモのおきて」で注目を集める。主な出演作はドラマ「妖怪人間ベム」「コドモ警察」、特撮テレビドラマ「仮面ライダーギーツ」など。日本テレビ系の情報番組「ZIP!」の木曜パーソナリティー。

アニメ映画「野生の島のロズ」

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人間の生活を快適にするために開発されたアシスト・ロボットのロズ(吹替版の声・綾瀬はるか)は、嵐に見舞われて無人島へと漂着した。野生動物たちの言語を学習しながら、島での生活の順応を試みる。ある日、ロズは自らに搭載された機能を駆使し、雁(がん)の卵のふかに成功。産まれてきたひな鳥をキラリ(吹替版の声・鈴木福)と名付け、育て始めるのだが……。配給・東宝東和、ギャガ。2月7日(金)から全国公開。

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