勝候補の大本命と目された九州文化女子学園(長崎)を準々決勝で破り、準決勝で熊本信愛女(熊本)を下した下北沢成徳。対するは、10月の岐阜国体で準優勝の誠英。下北沢成徳は個々の持ち味を生かしたパワーバレーを武器に、誠英はツーセッターから繰り出すスピードバレーを武器に、決勝へとコマを進めてきた。
荒木絵里香(東レ)、木村沙織(トルコ=ワクフバンク)ら多くの全日本代表選手を輩出した下北沢成徳だが、現在のチームに大エースはいない。「誠英のように緻密なバレーを展開するチームは最も苦手」と小川良樹監督(56)も言うように、戦前の予想では誠英が優位に試合を運ぶかと思われた。
しかし、ふたを開ければ、「3年間、成徳でトレーニングを重ねた成果が出た」というエースの小笹奈津子(3年)=大阪・貝塚二中出身=が、ベンチプレスで72㌔を上げるパワーを生かし、豪快なスパイクで相手ブロックを吹き飛ばす。辺野喜未来(2年)=東京・北沢中出身=も、高い打点から次々スパイクを決める活躍を見せ、10大会ぶりの春高制覇を果たした。
会心の勝利に小川監督は「選手が変化する姿を見ることができてうれしいし、指導者として自信になった」と目を細め、選手たちに感謝していた。