以下、最優秀賞を受賞した2チームにアンケート取材を行った。
リサーチで知識を得て、接点ない人に出会える
■渋谷教育学園渋谷中学高校Bチーム 坂本留梨子さん、伊藤澄佳さん(ともに1年、模擬国連部)
―最後の話し合いである最終セッションでは、どんな立ち居振る舞いをすることを心掛けましたか?
伊藤 会議が終盤に差し掛かるにつれて、2つの巨大なグループがそれぞれの決議案を提出することが明らかになってきました。そのため、私たちは早い段階から両グループの対立軸となるであろうところを把握し、自分たちのグループで議論するよう促し、妥協案を見いだすよう努めました。時間がとても限られていたため、自分たちのグループ全体に向かって話すときは、なるべく端的に物事を伝えるよう気をつけました。
坂本 決議案の投票直前に、私たちカザフスタンは公式討議と呼ばれるスピーチがありました。公式討議は、会議中にすべての大使が聞いてくれる唯一の場です。そのため、自国の説明にはとどまらず、この会議の意義や決議案の内容などについても話しました。
私たちは今回の会議で達成できた点、次の会合に向けた反省点について言及しました。提出された決議案に不満があり、非公式討議中にそれを話せなかった大使がいたとしても、スピーチを聞いて将来の議論のことも考え、納得してもらえるように心掛けました。
カザフスタンについて徹底的に調べ上げた
―どんな準備や練習を重ねてきましたか?
坂本 模擬国連では第一に自国理解が不可欠です。私たちはカザフスタンについてあまり知らなかったため、まずは国についての文献をとにかく読みました。その後、気になった部分をリサーチし、文献の著者や大学の教授に連絡を取りお話を伺い、理解を深めました。
その中でも、最も印象的だったのは在日カザフスタン大使館への訪問。大使館に勤めるカウンセラーの方にお話をお伺いし、私たちの政策の説明もさせていただきました。大会の数日前に訪問したので、カザフスタン大使として担う責任を再認識し気を引き締めると同時に、当日が本当に待ち遠しくなりました。
伊藤 会議に参加する自分たち以外の国に関しても、入念にリサーチを行いました。歴史や経済規模などの基礎情報に加え、軍縮に関係する条約の批准状況、国連にどのように貢献しているのか、自分たちの国との共通点は何かなど、あらゆる方面から理解を深めていきました。最終的には、A4の紙に1カ国ずつの情報をまとめ、会議当日は参考程度に持ち歩いていました。他の国の立場を知ることで、自分の立てた政策を客観視し、どのような国からどのような意見が出るかを考えることができます。他の大使との会話がより充実したものになることも確かです。
国際問題に向き合える
―模擬国連を始めたきっかけは?
伊藤 父の仕事の関係で幼少期はスイスのジュネーブに住んでおり、国連やその他の国際機関を身近に感じていました。そこで働く人々に憧れを抱き、小学生の時に学校の模擬国連部に参加しました。
坂本 友達に誘われ軽い気持ちで会議に参加してみると、国際問題について真摯(しんし)に議論をする先輩方の姿に心を打たれました。自分も1年後はこうなりたいと思い、模擬国連活動を始めました。
―模擬国連の魅力や身に付いた力は?
坂本 模擬国連では、まったく接点のなかった事柄や人に出会えることが一番の楽しさだと思います。不法移民、気候変動、情報統制など、会議のたびにさまざまな国際問題と向き合うことができます。毎回新しい議題をリサーチするため、得られる知識は驚くものばかりです。
例えば、今回の大会では自国カザフスタンがソ連の核実験から受けた被害、コロンビアやフィリピンが経験した紛争とそれからの復興、今日まで続くトルコによるキプロス侵攻などについて初めて詳しく知りました。
また、会議ではそれぞれの大使も全力で準備をして当日に挑んでいるため、議論を通じてお互いを高め合え、他校の生徒と共に成長できることも模擬国連の魅力です。
伊藤 会議のたびに、ある議題に関してとても詳しくなり、当日は調べたことをもとにした議論が模擬国連の楽しさであり、魅力であると感じています。例えば、今回の本選に向けてリサーチをしていく中で、若者と軍縮をつなぐ既存の取り組みの多さには驚きました。軍縮に取り組む若者や専門家のお話もお伺いし、感銘を受けるばかりでした。会議当日は、政策の立案や他の大使との交渉、妥協案の説明などいろいろな場面で議論に参加しますが、その都度自分が調べてきたことを臨機応変に用いながら話すことに楽しさを覚えます。
―国際大会への意気込みをどうぞ!
2人 ペア一丸となり精いっぱい頑張って、楽しんでまいります!