高校生が国連加盟国の大使役になって、地球規模の問題の解決策を議論する第18回全日本高校模擬国連大会・本大会(グローバル・クラスルーム日本協会など主催)が11月16日・17日、国連大学(東京)で開催された。最優秀賞には渋谷教育学園渋谷高校(東京)のペア、浅野高校(神奈川)のペアが選ばれた。(文・写真 渡辺絢音=学生ライター)
カギは「自主性」と「対話力」
模擬国連は、ペアを組み「国連大使」になりきって、担当国の国益を追求しつつ、スピーチや交渉を行う大会だ。今回の議題は「若者と軍縮、不拡散と平和」。担当する国は1カ月前に決まり、大会までにできる限りの情報を収集し準備を重ねた。
本大会では予選会に参加した205チームの中から勝ち残った84チームで競った。大会出場経験のある運営スタッフによると「自主性が問われており、対話をいかに頑張ったかが評価される。担当国によっては経済力に差があり、行動範囲も限られる部分が難しい点」だという。そうした点を踏まえながら、交渉をいかに有利に進めていくかが重要になる。
担当国に関する文献を読み大学教授に取材も
議場A、Bに分かれて実施。議場Aでは、カザフスタンを担当した渋谷教育学園渋谷高校Bチーム(東京)の坂本留梨子さんと伊藤澄佳さん(ともに1年)のペアが最優秀賞を受賞した。国益を追求しつつ、先を見据えた交渉を行った点が評価された。
もともとカザフスタンに関する知識はあまりなかったという。「模擬国連では第一に自国理解が不可欠。カザフスタンに関する文献をとにかく読みました。気になった部分をリサーチし、文献の著者や大学の教授に連絡を取ってお話をうかがい、理解を深めました」
相手が言いたいことの本質理解を意識
議場Bではコートジボワールを担当した浅野高校(神奈川)Bチームの久保田義弘さんと中田侑之介さん(ともに2年)が最優秀賞に輝いた。「コートジボワールはアフリカの中でも発展した国である」ことを意識して臨んだ。
交渉においては、優れたリーダーシップを発揮して議論を整理している姿が見られた。「模擬国連は『聞く力』『言いたいことを伝える力』など、多種多様な要素が組み合わさり一人の大使像が形成されると思っています。他国に対して意見を述べる際は、肯定から入ったり、相手の言いたいことの本質を理解したりすることを意識しました」(中田さん)
表彰式では受賞者がうれし涙を流し、互いに抱き合う姿も見られた。入賞ペアのうち、上位4チーム(主催者規定により、1校1チームに限定、被った場合奨励賞受賞校に参加資格が移行)は来年5月、ニューヨークで開催される高校模擬国連国際大会に日本派遣団として出場予定だ。
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受賞チーム一覧
最優秀賞
A議場:渋谷教育学園渋谷中学高校Bチーム(Kazakhstan大使)※ - B議場:浅野高校Bチーム(Cote d’lovire大使)※
優秀賞
A議場:渋谷教育学園渋谷中学高校Aチーム(Kyrgyzstan大使) - B議場:渋谷教育学園幕張中学高校Aチーム(India大使)※
奨励賞
A議場:小林聖心女子学院高校Aチーム(Japan大使)※ - B議場:浅野高校Aチーム(Cyprus大使)
PPP賞
A議場:晃華学園中学校高校Aチーム(New Zealand大使) - B議場:早稲田大学系属早稲田実業学校高等部Aチーム(Colombia大使)
- ※はニューヨーク派遣チーム。