読者の高校生から「ネット通販で頼んだ商品が届かなかった」という声が寄せられた。高校生にも身近な「ネットショッピング」でトラブルに巻き込まれたら、どう対処すればいいのか。全国の消費者トラブルに対応する国民生活センターで、相談などを担当する安井大智さんと布施杏奈さんに被害に遭わないための対策を聞いた。(黒澤真紀)
商品が届かない、返金を装った詐欺に注意
―高校生が巻き込まれやすいネット通販のトラブルには、どのようなケースがありますか?
高校生世代の場合、「商品が届かないケース」についての相談が目立ちます。例えば、文化祭などのイベントにあわせてクラスTシャツを制作する際、業者のインスタグラムを通して問い合わせ・注文をしたものの、使う日が近づいても納品されない。問い合わせをしても「当日までに送ります」「海外からの発送で数週間かかります」と返答されるだけで、当日に間に合わない……。使う日直前に「空輸の遅れで到着が間に合いません」と連絡が突然来るケースもあり、消費者庁も注意を呼びかけています。
―トラブルに巻き込まれないためにはどうすればよいですか?
このトラブルでは、注文のやり取りをLINEで行うよう誘導されますが、こうしたSNSのみでやり取りするのは危険です。ある日、突然連絡が取れなくなるリスクがあります。SNSだけでなく「電話やメールなどの連絡手段があるか」「販売事業者の所在地や連絡先、責任者の名前が正確に記載されているか」を必ず確認しましょう。
― 一方で、ネット通販を利用して返金トラブルに遭うケースもあると聞きました。
「〇〇ペイを使った返金詐欺」も昨年から増加していて注意が必要です。例えば、インターネットで見つけたウェブサイトで洋服を注文したものの、後日業者から「在庫がないため、○○ペイで返金する」と連絡。QRコードが送られてくると「返金コードを入力してください」などと誘導され、返金してもらうはずが送金してしまった……という手口です。「〇〇ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑ってください。
安価な海外通販にはリスクがいっぱい
―最近は、SHEINやAliExpress、Temuなどの安価な海外通販サイトを利用する高校生も多いです。こうした安価な海外通販サイトのトラブルはありますか?
安価な海外通販サイトでは、商品が破損して届く、違う商品が届く、配達が遅れるトラブルが報告されています。激安商品が多いのでお得に見えるかも知れませんが、トラブル時に意思疎通が難しかったり、届くまで時間がかかったりするケースも多いです。また、万が一、商品に何か問題があっても日本の大手通販サイトのような丁寧な対応が期待できないこともあります。リスクを理解して、慎重に利用しなければなりません。
―偽物が届くあるいは商品が届かないといった詐欺サイトは見分けられるのでしょうか?
まず、驚くほど安い値段でのブランド品を販売している場合は注意してください。SNS上で、そうしたサイトの広告が出ていることもあります。このほか、ウェブサイトや注文後のメールに「送料無料。3日か5日届けます!」のように「不自然な日本語表現がある」のが詐欺サイトの特徴です。支払い方法が銀行振り込みだけだったり、振込先が個人名だったりするのも怪しいサインです。キャンセルや返金ルールがないウェブサイトも怪しいサイトの特徴のひとつなので、避けてください。
トラブルに遭ったらすぐに「188」
―もし通販トラブルに巻き込まれた場合に取るべき行動を教えてください。
もし被害にあってしまったら消費者ホットライン「188」をご利用ください。どの地域に住んでいても「188」を押すだけで、近くの消費生活センターに案内されます。
ただし詐欺が疑われる「○○ペイで返金」と言われた場合は、警察に連絡を。困ったときは遠慮せずに大人に相談してください。
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独立行政法人国民生活センター
消費者の安全・安心を守るため、消費生活に関する情報提供や相談窓口の運営を行う機関。高校生でも利用可能で、困った際は全国共通の消費者ホットライン「188」を使えば、最寄りの相談窓口につながる。
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