集中力が続かないと、なかなか勉強もはかどりません。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「集中力を維持する方法が知りたい」というお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】自習で集中を維持する方法は?
勉強をやらなきゃいけないのは痛いくらい分かっているのですが、集中力が全く続かないです。机に向かっても10〜15分たつと、気が散ってしまいます。
一度気が散ると、また勉強に戻るのに1時間ほど時間がかかります。勉強が進まないのに時間だけがたっていく負のループが続いています。周りには、ものすごい集中力で勉強をし続けられる子もいて、なおさら焦らされて「自分はなぜできないんだろう」とマイナスな気持ちになってしまいます。
自習に集中する方法と集中しつづけるコツ、一度切れた集中力を復活させるにはどうすればよいか、教えていただきたいです。(エリース・高校1年男子)
集中できる人の特徴は?
こんにちは。石田勝紀です。集中できないことに対する悩みは高校生だけでなく、小中学生も、大人もあります。もしかしたら人類共通の課題かもしれませんね。しかし、そのような中でも集中できる人もいます。そのような人は、どのようなことをやっているのかがわかるとエリースさんも集中力が上がっていきます。では、集中できる人の特徴を紹介します。
【1】もともと集中できるタイプの人
人間はマルチタスク型とシングルタスク型の二つに分かれています。マルチタスク型の人は、周囲の情報をすぐに拾ってしまうため、集中することが難しいです。しかし、大人になるとこの特徴が「よく気がつく」というメリットになります。一方シングルタスク型は「一点集中型」とも言い、目の前のことに没頭できるタイプです。これはもともとの特徴なので、基本的には変わりません。
しかし、マルチタスク型でも集中できる方法があります。それは周囲に気が散るものを置かない、気を散らす環境でやらないといことです。自習室は一見集中できそうですが、マルチタスク型は周囲の情報を拾ってしまうので向いていません。場所を変える必要があります。
例えば、カフェなどは実は集中できます。周囲のことが気になるように思うかもしれませんが、ざわざわとした雑多な音は「ホワイトノイズ」と言って集中できることがあります。このような雑踏のようなざわざわは、実は集中させる場としてふさわしいと言われています。
【2】集中できるタイミングと場所を知っている
「いつ、どこで、何をやると集中できるか」を「調査」してみてください。例えば、数学は夕食後の自分の部屋、英語はリビングの特定の椅子でおやつの後、音読は日曜朝の床の上で寝ながら、理科は木曜日の学校帰りのカフェで……などです。人によって集中できるタイミングが異なります。
集中できない理由のほとんどはこれが理由です。つまり、時間と場所とやる内容が「自分に一致していない」のです。ですから、まずは調査から始めます。そしてそれがわかったら手帳に書き込んでください。その手帳を見ながら、日々過ごしていきます。また集中できなくなったら、また調査して変えていきます。
【3】時間計測をする
集中できる時間が今は10分〜15分ということなので、はじめから15分で設定して、そこでいったん休憩します。休憩時間は5分程度がいいでしょう。その際、場所を離れる必要があるので、いったん立ち上がり、体勢を変えてください。これが気分転換となります。同じ場所でスマホを触ると、体勢が変わっていないので、転換にはなりません。
15分に慣れてきたら、次は20分で5分休憩にしてください。スマホのタイマーを使うといいでしょう。15分にせよ、20分にせよ、そこでやめることが大切です。キリがいいところまでやってから休憩すると、次に始めるときに面倒な気持ちになります。中途半端に終わらせておけば、休憩が終わったらすぐに開始できます。これも大切なコツのひとつです。
他にはいくつも集中のための方法はありますが、まずは上記3点をやってみてください。すると徐々に集中できる時間も延びていきます。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。