裁縫した商品をカンボジアの母親たちから現地で受け取った生徒たち(昨年8月、学校提供)

 毎週水曜日の放課後、啓明学園高校(東京)有志の生徒たちが、布の裁断や裁縫をしに被服室に集まってくる。「カンボジアの子どもたちに教育を受けさせたい」という思いで取り組む支援活動だ。

現地の母親と協力し商品製作

2014年に裁縫プロジェクト「Stitches for Riches」を始め、SGHアソシエイトの活動の一環として続けている。貧困のため子どもを学校に通わせられないカンボジアの母親に布を送り、巾着やバッグを縫ってもらう。それらを9月の文化祭で販売し、売上金は制服やノートなどの購入費としてNPO法人を通じ母親に渡される仕組みだ。奉仕委員会の生徒を中心に、現在、高校1・2年の生徒約20人が活動している。

材料は校内で呼び掛けて集めた布を使う。現地の母親たちが裁縫した商品に、生徒がレースやビーズを付けるなど装飾を施す。昨年の文化祭では8万2800円を売り上げた。初年度にバザーで販売した時に比べ2倍以上だ。

 昨年、中心となって活動した山口紗莉央さん(3年)は「バッグをリバーシブルにして、装飾を付け過ぎないなど工夫した結果が出たみたい」と振り返る。

9月の文化祭で販売へ

現在、9月の文化祭に向けて、新商品のペットボトルカバーを試行錯誤しながら製作中だ。8月にはカンボジアに赴いて、母親たちに直接、作り方を説明しに行く。今年度のプロジェクトリーダーを務める相原歩美さん(2年)は「(現地の母親たちは)読み書きができないから、イラストを使って手順を説明するなど工夫して伝えます」と意気込んでいる。(野村麻里子)

2014年からSGHアソシエイトに指定。必修科目「グローバル・スタディーズ」などを通じて「平和を創る世界市民の育成」を目指す。