読者の高校生から、「インスタグラムのストーリーに許可なく写真をアップされた」という声が寄せられた。SNSに写真や動画をアップすることが日常になった今、SNS利用時に必要なマナーやモラルを見直す必要がある。(黒澤真紀)

ストーリーに勝手に写真をあげられた

リョウさん(仮名、高校3年男子)は、インスタグラムの機能の一つで、24時間で投稿が消える「ストーリー」に、友達と話している自分の写真をアップされた。アップしたのは同じ部活の生徒だった。「相手のアカウントはフォロワーのみが閲覧できる『鍵アカ』でしたが、フォロワーの半分以上は僕の知らない人でした」

ストーリーに勝手に写真を上げられた

ストーリーはアップする際、「親しい友達」という機能を使えば、投稿者が選んだユーザーにのみ表示させることもできる。しかしリョウさんが写った写真は、フォロワー全員が見られる設定で投稿されていた。

「『勝手に上げないで、消して』と注意すると、『わかった』と一言。確認するとストーリーが消えていました。しかしそれは投稿自体を削除したのではなく、ストーリーを僕だけが見られないように設定しただけで、他の人にはまだ見えている状態でした」

写真撮影は相手の許可をとる

リョウさん以外の中高生読者からも、「SNSに許可なく写真をアップされた」という声が相次いだ。写真をアップするときは、どんなことに気を付ければよいのだろうか。10代のSNS利用に詳しい千葉大学教授の藤川大祐先生は必要なマナーやモラルを語る。

―中高生読者にSNSトラブルの経験を聞くと、「許可なく写真をアップされた」という声が多数寄せられました。SNSに写真をアップすることは、どのようなリスクがありますか?

許可なく他人の写真をSNSに公開することは、プライバシーの侵害につながりかねません。個人が特定できるような写真や動画を勝手に公開することは、マナーの問題として許されません。公開された情報が意図しない形で拡散される可能性もあるため、十分な注意が必要です。

―SNSに写真をアップする際の注意点を教えてください。

人の写真を撮影する際は、必ず相手の許可を得なければなりません。撮ってもよいがSNSには載せてほしくない人や、そもそも撮られたくない人など、いろいろな人がいます。相手が「嫌だ」と言ったら、相手の意思を尊重し、撮影そのものを控えるべきです。もし、自分が不快に感じることがあったら、はっきりと相手に伝えるようにしましょう。

こうしたマナーは小学校から学んでいるはずですが、いつの間にか忘れてしまう。普段の生活と同様に、SNSの利用においても思いやりとマナーを持って行動することが求められます。

鍵アカでも流出の可能性あり

―「鍵付きアカウントには投稿しても問題ない」と考える中高生もいるようです。

鍵付きのアカウントだからといって、投稿が安全だとは限りません。誰かがあなたの投稿をスクリーンショットで保存し、無断で転載する可能性もあります。鍵付きかどうかに関係なく、他人に見られたくない情報や画像は投稿しないこと。動画の一部など特定の瞬間が切り取られて、誤解を招くこともあります。

―自分のプライバシー情報をSNSで公開する際、どのようなことに気をつけるべきですか?

未成年のうちは、顔や名前などの情報をどこまで公開するか、まずは自分で考え、保護者と相談して方針を決めましょう。アカウントに鍵をかけたり、仮名を使ったりすることも選択肢の一つ。保護者に自分の投稿を必ず見せる必要はありませんが、安全にインターネットを利用するために、プライバシー情報の管理を適切に行ってほしいと思います。

藤川大祐(ふじかわ・だいすけ)

千葉大学教授、教育学部長。専門は教育方法学。文部科学省「ネット安全安心全国推進会議」委員、安心ネットづくり促進協議会普及啓発広報副委員長などを歴任。著書に『教師が知らない「子どものスマホ・SNS」新常識』(教育開発研究所)など。

 

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