シンガー・ソングライターのあいみょんさんに高校生記者がインタビュー。「全て投げ出したい」「努力が実るか分からない」と葛藤を抱える高校生たちに、力強いメッセージを届けてくれました。(取材・新保茉那=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・幡原裕治)
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「私は音楽で何かできる」妄想が支えに
―高校生からの質問です。「今年、受験生です。合格するか分からない、努力が実るとも限らない状態です。あいみょんさんが努力し続けられる秘けつを教えてください」
高校生のころの私は受験から逃げた。そうとも言えるんです。ほんまに勉強が嫌やったから(苦笑)。だから、大学受験に向かっていく子たちがとてもまぶしく映りました。ポンコツの自分に比べてカッコいいなって。今でもそう思う。
受験から逃げた自分は、勉強とは別のことで努力するしかないなとは思っていましたね。何か一つでもいいから誰かに「すごい!」と思われたいなという気持ちもどこかにあって。私に何か才能があるとするのなら、音楽しかない。高校の先生には「音楽よりも勉強せえ!」と理解を得られませんでしたが、音楽だけはどうしても諦めきれなかった。
―音楽があったから努力し続けられたと。
努力というよりも、音楽だけは私の妄想が止まらなかった。テレビの音楽番組に出演する自分、大きなステージで演奏する姿、地元の(兵庫県)西宮の人たちから「芸能人だ!」って言われる日が来る……そんな大きな妄想が次々浮かんでくるんです(笑)。そういう未来がきっとくるはずだと思いながら音楽をやっていたら、18歳の夏、たまたま運よく音楽関係者の方が声を掛けてくださりました。
19歳のときインディーズでリリースしたCDが、私がよく通っていた地元のCDショップにも並んだんです。「西宮出身のあいみょん!」と特設コーナーも作っていただき、めっちゃうれしかったし、自分が歌手になれたと思えた瞬間でした。「いつか私は音楽で何かできるはず」という思いと妄想が、高校生の私の支えになっていました。
やらなきゃいけないことを頑張るには
―「私の学校は課題が多くて、すべて投げ出したいと思う瞬間があります。やることが多くて投げ出したくなったとき、どのように対処していますか?」
勉強がすごく苦手で数々の宿題を投げ出してきました(苦笑)。そんな私やけど、音楽活動をする中では投げ出したいと思ったことはないかな。
宿題じゃないけど、今も提出物や確認事項など、「あれもこれもやらなきゃ!」と多くの作業に追われることがあります。私はソロアーティストとして1人で音楽活動をしているので、もし自分が投げ出してしまったら、まわりのスタッフさんの動きがすべて止まってしまう現実がある。やっぱり高校生のころよりは責任感が出てきたんかな。まぁ、テンパりすぎて楽譜を放り投げたことはあったけど(笑)。
高校生のみなさんは、多くの課題を自分の将来に必要なことの一つだと思ってみてください。気が進まないけどやらなきゃいけないこと、それを自分の将来と関連づけられれば、絶対頑張れる!
アルバムを「通し」で聞いてほしい
―通算5枚目となる新アルバム「猫にジェラシー」は、リリース済みのシングル曲や未発表の新曲の全13曲。収録曲の順番はどのように決めましたか。
曲順を決める場での感覚ですね。曲の順番も選曲も、スタッフさんたちの意見を交えながら決めます。特別な私の気持ちを込めるとか、曲の並びで何かをイメージさせるとかではなく、感覚的に聞き心地がいいなって思う曲順にしました。もう自分の感覚です!
最近は、音楽アルバム全曲を通して聞く文化が一般的ではなくなってきています。サブスクリプションを利用して、1曲単位で音楽を楽しむのが主流なのは分かっています。それでもやっぱり、私はアルバムを一つの作品として、通しで聞くことにはこだわりを強く持っていたい。
―新アルバムの曲の中では、恋愛中だったり、失恋してしまったり、男性目線からの恋愛模様だったりと、さまざまな形の「愛」を歌われていると感じました。
曲づくりの傾向的には、恋愛を題材した楽曲は多いかも知れません。どんなタイプの曲でもラブソングやと思って曲を書いている自覚はあったりするので。ラブソングにしても面白い視点から歌詞を広げていこうとは思っていて、歌詞の世界観が似通った楽曲を新アルバムの中にそろえないようにとは意識したかな。家の中でラフな状態でギターを弾きながらメロディーと歌詞を同時に作っているので、何も考えずに完成する楽曲も多くて、歌詞の深い意図が案外なかったりもする(笑)。
「早く生演奏したい!」
―9月下旬からは「AIMYON TOUR 2024-25 “ドルフィン・アパート”」と銘打ったライブを全国各地で開催。ご自身も「ドルフィン・アパートの内装を建設中!」とのメッセージを発信していましたが、どんなステージになるのでしょうか。
今(※7月下旬)はバンドメンバーたちとリハーサルの真っ最中。彼らとどんな音を作っていけるのか、楽しみと不安な気持ちが入り交じる心境です。覚えなきゃいけないことがたくさんあるし、ギターももっと練習しないと(苦笑)。
「猫にジェラシー」の楽曲の中には、「ライブバージョンで披露したら映えそうだな」と感じる曲、「早く生演奏したい!」とウズウズする曲があります。ファンのみなさんも新アルバムを聞き込んで、ライブに来てくださると思うので、CDとは違う、ライブならではの曲の良さが伝わるステージにしたいですね。
【取材後記】心にグッとくる言葉もらえた
言葉を丁寧に選んで、質問に答えてくれるあいみょんさんの姿が印象的でした。言葉の節々から周囲の人々への感謝の気持ちが感じ取れて、とてもすてきだと感じました。
高校生は他人と自分を比べて、落ち込みがちな年ごろだと思います。あいみょんさんが「自分が持っている小さな音楽への自信を信じた」と話した際にハッとさせられました。SNSを通して、自分よりはるかにすごい才能、大きな自信を持っている人を見ると自分がちっぽけに見えがちな今の時代に、必要なのは小さな自信かもしれないと思いました。
あいみょんさんの質問への答えは、きれいごとに聞こえませんでした。あいみょんさんの楽曲もそうですが、言葉にも心にグッとくる優しさがあります。高校生は大人が言っていることに対して、「それってきれいごとにじゃん!」と反抗したくなることもあるかもしれませんが、そんな時にあいみょんさんの歌を聴いて、日々の活力を得たいです。(高校生記者・新保茉那=3年)
あいみょんさんのサイン色紙&ポスターをプレゼント!
あいみょんさんのサイン色紙を1人に、「猫にジェラシー」B2サイズポスターを3人にプレゼントします。高校生新聞編集部LINE公式アカウントとお友達になってから、「あいみょんさん色紙希望」または「あいみょんさんポスター希望」と明記の上、「学校名・学年・性別(差し支えなければ)・記事の感想」をメッセージに書いて送ってね。応募資格は高校生・中学生に限ります。10月31日締め切り。当選者には編集部からメッセージでお知らせします。
5th Full Album「猫にジェラシー」
2024年9月11日(水)リリース。NHK連続テレビ小説「らんまん」主題歌「愛の花」、カルピス®テーマソング「ラッキーカラー」を含む全13曲収録。(以下、価格は全て税込み)
- ・初回限定盤(CD+2Blu-ray Disc)7920円
- ・初回限定盤(CD+2DVD)6820円
- ・通常盤(CD)3300円
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あいみょん
1995年3月6日生まれ、兵庫県出身。シンガー・ソングライター。2016年にシングル「生きていたんだよな」でメジャーデビュー。これまで16枚のシングルを発表。9月11日に5枚目のアルバム「猫にジェラシー」をリリース。ラジオ「あいみょんのオールナイトニッポンGOLD」(ニッポン放送)のパーソナリティを担当。9月28日のLaLa arena TOKYO-BAY(千葉)を皮切りに、全30公演のアリーナツアー「AIMYON TOUR 2024-25 “ドルフィン・アパート”」をスタートさせる。