オバマ米大統領が5月27日に被爆地・広島を訪問した際、原爆慰霊碑への献花の花輪を渡す大役を担った並川桃夏さん(3年)。平和教育に力を入れる広島女学院高校(広島)で学び、精力的に平和活動に取り組んでいる。
オバマ氏と対面「感動」
平和活動が評価され、原爆被害の継承・発信が目的の「ユース非核特使」に外務省から委嘱されたことでオバマ大統領との対面が実現した。「大統領と被爆者が抱き合うのを見て、涙が出そうだった」と振り返る。
学校の「署名実行委員会」に参加し、他校の生徒とともに原爆ドーム前などで核兵器廃絶を求める署名活動を行ってきた。昨年度は活動全体で8万筆を集めた。
首都大学東京が主導し同校が協力する「ヒロシマ・アーカイブ」では、被爆の実態を記録したデジタル資料集に掲載する「被爆者の証言ビデオ」を制作した。「活動を始めてから私自身が被爆3世であると家族から聞いた。証言を予定していた人が急に亡くなったこともあり、核廃絶への思いが強くなった」
来訪者に慰霊碑を案内
SGHの取り組みの一つ「碑めぐり案内」で、他県からの生徒や海外からの来訪者を平和記念公園内の慰霊碑に案内した。「広島の人の思いを伝える自分たちの言葉を、同世代の人たちが真剣に受け止めてくれてうれしかった」と話す。
SGHの授業では在日外国人差別やカンボジア内戦など、国内外の諸問題を題材にして、模擬国連形式の討論や現地研修などを行ってきた。
「戦争には被害、加害の両面があるなど、SGHではいろいろな視点で物事を見る大切さを教わり、身についた」と実感している。
(木和田志乃)
■2014年度からSGH指定。「核の惨禍のない世界を創り出すしなやかな女性」を目指し、Peace Studiesを通じて平和観、対話力、リーダーシップを育む。