「オープンキャンパスを今後の進路選択に生かす方法が知りたい」という声が読者の高校生から寄せられた。オープンキャンパスを「楽しかった」という感想だけで終わらせないようにするには事前準備が欠かせない。服装や持ち物など、オープンキャンパス参加にあたって知っておきたい基本情報を、進路指導アドバイザーの倉部史記さんに聞いた。(安永美穂)
【服装は?】基本私服で問題なし
―どんな服装で行けばよいですか?
教職員との面談など、総合型選抜の受験に必要なプログラムに参加する場合は制服がよいかもしれませんが、一般的には私服で問題ありません。実習のプログラムなどで動きやすい服装を指定されている場合は、その指示に従いましょう。
夏のオープンキャンパスでは、屋外は熱くても屋内は冷房がきいていることが多いので、室温に応じて調節できる服装で参加するとよいでしょう。
【持ち物は?】大きめリュックが便利
―持って行くとよいものは?
ペンとノートを持って行き、気づいたことはメモを取りましょう。スマートフォンも持参し、撮影を禁止されていない場所では写真や動画を残しておくと帰宅後の振り返りに役立ちます。夏は水分補給のために、自動販売機で飲みものを購入するときに使う小銭も用意しておきましょう。
1日に複数の大学を回る場合は、大学の資料を紙袋ごと収納できる大きめのリュックサックなどを用意しておくと、大学の名前が印刷された紙袋を手に持ったまま別の大学を訪問することにならずにすみます。
【誰と行く?】一人、友達、保護者…メリットデメリットを把握して
―一人、友達、保護者……誰と行くのがよいものでしょうか。
一人で参加すれば、自分の興味・関心に応じて、質問をしたりプログラムに参加したりできます。友達と参加すると、友達の興味のある学部を見て回ることで視野が広がりますが、友達に合わせてばかりだと自分が興味のあるプログラムに参加できなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
保護者と参加する場合、就職率や資格取得状況など大人だからこそ気付きやすい部分を指摘してもらえるのはメリットです。ただし、保護者の意見に流されるのではなく、自分で参加プログラムを選んで積極的に質問するようにしましょう。大学に行くのは「あなた自身」だということを忘れないでくださいね。
【何校行く?】難易度別に複数の大学を周ろう
―何校くらい参加すべきでしょうか?
受験する可能性のある大学のオープンキャンパスには、できれば全て参加しておいたほうがよいでしょう。
「憧れのチャレンジ校」のみ見て回り、併願校は見に行かない人が多いのですが、合格する可能性が高いのは併願校のほうです。たとえば仮に5〜6校を受験するのなら、チャレンジ校、実力相応校、安全校のそれぞれ2校ずつを目安に参加すると、難易度が同程度の大学の横の比較もできます。
【必要なリサーチは?】知りたいことを事前に書き出そう
―参加するオープンキャンパスについて、事前に調べたほうがよいことはありますか?
オープンキャンパスは「学習者」の視点でリサーチしに行く場なので、学食でランチをして満足してしまう「お客さま」感覚はNGです。大型テーマパークに行くとき、どのアトラクションをどんな順番で回ろうか、事前に調べてプランを立てますよね。それと同様に、何を知りたいのかを事前に書き出し、どこを見て回るかを考えておくことが大切です。
多くの大学では、当日のタイムスケジュールをウェブサイトで公開しています。模擬授業や先輩のトークセッションなど、時間が決まっているプログラムは事前に確認し、優先順位を決めてから参加することをおすすめします。
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倉部史記(くらべ・しき)さん
進路指導アドバイザー、高大共創コーディネーター。追手門学院大学客員教授。高校生の「ミスマッチのない志望校選び」を支援するために、全国の高校での進路講演や高校・大学の教職員向け研修などを行う。著書『ミスマッチをなくす進路指導』(ぎょうせい)など。