投てきで圧倒的強さを見せた幸長慎一(幡原裕治撮影)

全国高校総体(インターハイ)陸上の男子投てきは幸長慎一(徳島・生光学園3年)の独壇場。砲丸投げで18㍍21のジュニア日本新記録・高校新記録をマークして2位に1㍍75差、円盤投げは大会新記録の55㍍59で2位に8㍍40差をつけ、ケタ違いの強さを発揮した。

今季、砲丸投げで高校歴代2位の18㍍00、円盤投げでジュニア日本記録の56㍍42をマークしていた幸長。高校記録にあと2㌢に迫っていた砲丸投げの決勝で2投目に18㍍04を投げ、スタンドのどよめきを誘うと、5回目にさらに記録を伸ばした。円盤投げは自己記録に届かず。2冠を達成したが「自分に勝てなかったので悔しい」と笑顔はなかった。

「勝って当然」と言われたインターハイを終え、幸長の視線はさらに上を向く。五輪や世界陸上で使う一般用の砲丸・円盤は、高校用より重くなる。幸長は高校から一般用に取り組み、日本選手権では砲丸投げ7位・円盤投げ5位と、男子投てきで高校生初の2種目入賞を果たした。

将来への期待も大きく、同年代の世界大会なら入賞争いに手が届きそうなレベルだが、「まだ力不足。出直してきます」と謙虚さを崩さない。もっと強くならなければ。そう思えたインターハイだったに違いない。(中尾義理)