教科書内容が終わらなかった場合の自習法

高校生の立場からすると気になるのは、授業で終わらなかった範囲はどのように学習していけばよいのかということだろう。石川さんは「どのような進路・入試形式を選ぶのかによって必要な対策が異なる」として、次のようにアドバイスする。

【国公立大受験者】

まず、国公立大を受験する人や共通テストを利用した入試を受験する人は、新学習指導要領で重視されている『知識を活用して考える力』を身につけておくとよいという。

「教科書の本文の横に記載されている考察のための問いやヒントをよく読み、『なぜこの出来事が起きたのか』を考えたり、グラフや地図も含めた資料を読み解いたりするトレーニングをしておくことをおすすめします」

自分の受験する入試形態によって対策方法を変えよう(写真はイメージ)

【私立大文系受験者】

私立大文系の一般入試では、従来型の知識を問う出題が依然として多い傾向にある。「授業で終わらなかった範囲は問題集などで自主学習を行い、細かな知識を身につけておく必要があります」

【総合型選抜受験者】

総合型選抜では志望学部の学問を探究する姿勢が問われる。「授業のグループワークなどで取り組んだことを振り返り、知識を活用しながら自ら問いを立てて考察を深めていくプロセスを理解して、自分なりの考えを述べられるようにしておきましょう」

【学校推薦型選抜受験者】

なお、学校推薦型選抜(指定校制、公募制)では評定平均が重視されるため、現在、「歴史総合」を履修している人は、教科書の範囲が終わるかどうかを気にするよりも、授業で扱った内容を重点的に学習して定期テストで高得点を取ることが入試対策につながるという。

 
石川一郎さん 
21世紀型教育機構理事。複数の学校でカリキュラムマネージャーを務め、教育改革に携わる。元・社会科教員、元かえつ有明中・高校校長。著書に『いま知らないと後悔する2024年の大学入試改革』(青春出版社)など。