高校2年生のミイさん(仮名妹のリカさん(仮名・中学3両親の離婚がきっかけとなり7年間離れて暮らしている。ミイさんは父、リカさんは母と生活しているが、姉妹は「離れていても仲良し」だ。3組に1組が離婚すると言われている今、二人に離婚を迷う夫婦に伝えたいことも聞いた。(文・黒澤真紀、写真・本人提供)

お互いのことが「大好き」

両親の了承を得てオンライン取材に応じてくれたミイさんとリカさん。画面に顔を寄せ合う二人は、目元がよく似ている。

ミイさんは妹を「明るくて社交的なところが好き」、リカさんは姉を「頭が良くてしっかりしてて、とっても優しくて大好き」と言った後、笑顔で顔を見合わせ、照れくさそうにする。7年前から別居していることを感じない、仲の良さが伝わってくる姉妹だ。

姉(写真左)の学校の文化祭に遊びにきた妹

「リコン」の意味わからないまま

両親が離婚すると聞かされたのが、ミイさんが小学3年生、リカさんが小学1年生の学年末。それぞれ、母と一対一で話をして、「離婚するから、どちらについてきてもいいよ」と言われた。

ミイさんは当時のことを「悲しいというより、驚きでした。本当にびっくりしました」と振り返る。「転校したくない」という理由で父と家に残ることを選んだ。リカさんは「リコンという言葉の意味もよく分からず、実感がありませんでした」。姉の選択を聞き、「じゃあ私は母の方に」と決めた。夏休みから姉妹離ればなれの生活が始まった。

幼かったリカさんは、「悲しかったと思うけど、正直、あまり覚えていないんです」とも話し、二人で1年あまり同じ小学校に通った記憶もおぼろげだ。

別居後、ミイさんは父と家事を分担することに。近所に住む父方の祖父母が手伝いに来てくれた。母と転居したリカさんは新しい学校での慣れない生活が始まった。「いろいろなことが混乱したまま過ぎていったけど、時間がたつうちに慣れていきました」と二人は口をそろえる。

SNSに「いいね!」日常を共有

別居した直後は、ミイさんはガラケー、リカさんはキッズ携帯を使って、メッセージを送り合った。時々顔を合わせて、お互いの元気な様子に励まされた。それがスマートフォンのショートメールになり、今はLINEを使う。「8年前に比べると、話す内容も濃く、深くなってきたと感じています」(ミイさん)

SNSもフォローし合い、相手の日常を垣間見ている。「どちらかがツイッターに投稿をアップしたり、インスタグラムのストーリーをあげたりしたら、見た方が『いいね!』やコメントをします」(リカさん)

離れて暮らす母・父とも交流

LINEではたわいもない話をしたり、次に遊ぶ日の約束をしたりもする。最近は、ミイさんがLINEで母の日のプレゼントをリカさんに相談し、かわいいキッチン用品をプレゼントすることに。リカさんは父の日に、感謝の言葉をLINEで送った。「別れてからも、今月は私が母の家に行って来月は妹が私と父の家に来る、忙しいと数カ月あくというように、両親とも会っています」(ミイさん)

カラオケで「津軽海峡冬景色」をよく歌う姉を思い出し、妹がLINEを送ってきたそうだ

リカさんは、数学の分からない問題の画像をLINEでミイさんに送って、教えてもらうことが多い。「学校の先生より、友だちよりも聞きやすい。姉は、優しく分かりやすく教えてくれるので、頼りになります」(リカさん)。ミイさんの返信でどうしても分からないことがあれば、リカさんが分かるまでミイさんが電話で説明してくれる。今年、受験生のリカさんにとって、ミイさんは心強い味方だ。

現在、ミイさんは父と祖父母と同居。中高一貫校に進学したミイさんは、今も毎朝、5時半に起きて自分のお弁当を作る生活を続けている。

ミイさんは毎朝自分のお弁当を作っている

日々の中で、困ることもある。「第二次性徴のときは、父に相談しづらかったので、母にサポートしてもらいました。父は適度に距離を保ってくれたので良かったです」(ミイさん)。リカさんの目下の悩みは、「二人っきりなので、母子げんかの仲裁役がいないこと」だそう。思春期になり、ささいなことでぶつかり合うことが多くなった。「歯止めがきかなくなると、お姉ちゃんの家に泊まりに行くこともあります」(リカさん)

何でも話せる姉妹でよかった

両親も、離婚後も姉妹の仲が良いことを知っている。母は最近、「離婚して迷惑をかけたけど、二人が今も前向きにつながっていてくれてうれしい」というメッセージを寄せてくれた。そんな姉妹にとって家族とは――。

「ありのままの自分でいられる存在です。同居しているかどうかは関係ありません。私たちはいつも一緒にいないので、相手の知らない面もあってうまくいっているところもあるかも知れませんが(笑)。離れていても、お互いを思い合って、信頼し合っていることが大切だと思います。私はいつもおもしろいことがあったら、『次にリカに会ったら話そう!』と楽しみになります」(ミイさん)

「何でも相談できる存在です。特に、姉とは何でも話せる姉妹でいられて本当に良かったと思います。会った時間を大切にしたいので、けんかはしません。もし、お互いにイヤな部分が見えても、それも大切にしていきたいです」(リカさん)

子どもの気持ちに寄り添って

今、離婚を迷っている夫婦へのメッセージをもらった。「親の都合で別れちゃうというのは分かるんですけど、やっぱり子どもの気持ちに寄り添うことがすごく大切」(ミイさん)。「親同士の仲は悪くても、子どもは親のことが好き。親子の交流を続けてほしい」(リカさん)

※この記事は高校生新聞とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。