全国高校駅伝で男女共に優勝した世羅

男子第66回・女子第27回全国高校駅伝が12月20日、京都市西京極陸上競技場発着コースで行われ、「チーム歴代最強」と自負する世羅(広島)が男女共に優勝した。7区間42.195キロの男子は2時間1分18秒の大会新記録を樹立。2年連続、大会最多となる9度目の優勝に花を添えた。5区間21.0975キロの女子は最終5区で35秒差を逆転。劇的な初優勝に笑顔と感涙がわき起こった。
(文・写真 中尾義理)

「男子だけじゃない」女子奮起

先に行われた女子は、3年連続1区の小吉川志乃舞(3年)が区間賞の好スタート。2、3区も先頭争いを演じた。4区で4位に転落し、先頭と35秒差で5区の向井優香(2年)にたすきが渡った。

 岩本真弥監督は、向井の逆転可能な差を「30秒以内」と見ていた。今季、3000メートルで世界ユース5位、全国高校総体(インターハイ)3位の向井にもぎりぎりの差。向井は「とにかく飛ばしました」と追い上げ、ついに残り3.7キロ付近で先頭の常磐(群馬)を抜き去り、大歓声の中、1時間7分37秒で栄光の瞬間を迎えた。

 それまで女子は10位が最高。「男子だけじゃないぞ」。向井は声を弾ませた。

 女子に続いて男子も出陣。1区の中島大就(3年)が区間3位で発進すると、2区の井上広之(3年)が区間賞で続いて首位に立ち、3区のケニア人留学生ポール・カマイシ(3年)につないだ。

 3区、5区、6区も区間賞。7区の新迫志希(3年)も最後までスピードを緩めず、留学生を含むチームの高校国内国際最高記録を14秒更新した。

黄金時代到来か

世羅の強さは「目標を高く持つこと」にあった。男子は2連覇に加え、高校駅伝最速記録を目指した。女子は「私たちも男子に負けず上を目指そう」と、目標を「入賞」から「優勝」に格上げした。

 男子1区の中島は「日本人だけでも勝てるチームをつくろうとやってきました。そこにカマイシが加わって新記録を狙えたんです」と胸を張る。女子1区の小吉川も「私たちならできると信じて、女子部員21人が一つになりました」と強調した。

 岩本監督は「ここまで来るのに足並みがそろわない時期もありましたが、全選手が想定通りに走りました」とチームの成長を喜んだ。男女とも1、2年生に有力選手がいる。世羅の黄金時代は次回も続くのか。

 
【TEAM DATA】
男子1946年、女子1960年創部。陸上競技部の長距離部員は男子36人、女子21人。「速い選手より強い選手に」がモットー。男子は全国高校駅伝の初代優勝校。2015年の世界陸上男子1万メートル代表の鎧坂哲哉(旭化成)ら、卒業生も実業団や学生駅伝で活躍している。