全国高校総体(インターハイ)陸上の男子3000メートル障害決勝が2019年8月8日に沖縄県沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われ、フィレモン・キプラガット(岡山・倉敷3年)が8分43秒42で快勝し、史上初となる3連覇を成し遂げた。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)
王者に挑んだ洛南・三浦
前々回のインターハイで打ち立てた8分21秒30の大会記録を持つ王者・キプラガットに対し、6月の近畿大会で8分39秒49、2週間後の日本選手権予選で8分39秒37と、2度も日本高校記録を塗り替えた三浦龍司(京都・洛南3年)がどのように挑むか。男子3000メートル障害の焦点はそこにあった。
三浦は前回、ランキング日本人トップで臨みながら、予選で他の選手を妨害したと判定されて失格。「あの悔しさを晴らすために、この1年間やってきた」と並々ならぬ決意で、沖縄に乗り込んできた。7日の予選はただ1人、8分台(8分57秒40)をマークし、悠々と通過。決勝は「風が強かったので、タイムというより順位。学校対抗の得点をたくさん獲得できるような走りをしよう」というプランを描きつつ、「(キプラガットが)足を痛めていると聞いたので、できればついていきたい」と考えていた。
王者の貫禄、独走で勝利
片やキプラガットは、日本高校国内国際記録である8分19秒21の更新を目指していた。しかし、絶え間なく吹き続く強風により、その試みは断念せざるを得ず、「風がめっちゃ強かった。しんどかった」と苦笑いするしかなかった。
レースは「日本人選手は怖くない」と語るキプラガットが500メートル過ぎから独走態勢を築き、三浦が2番手で懸命に追いかけたが、その差は徐々に開いていった。2000メートル通過は13秒差。残り1000メートルでもキプラガットの走りは衰えを見せず、王者の風格さえ漂わせての貫禄勝ちだった。
3連覇という偉業を遂げたキプラガットだが、ここで立ち止まるつもりはない。「冬は(2連覇を目指す)全国高校駅伝を頑張って、来年はオリンピックに出たい」と、その視線を早くも次に向けていた。