中谷龍さん(静岡・浜松学芸高校3年)の映像作品「芸術戦士アクティオン」を紹介します。第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)の美術・工芸部門に出品されました。中谷さん自身が体を張って演じた力作。どうやって作り上げたかを教えてもらいました。(野村麻里子)
コロナ禍を乗り越える願い託して
―作品のテーマを教えてください。
「芸術の特撮」です。この作品を作ったのは、ちょうどコロナ禍の高校1年の夏。自由に行動できない今を乗り越えた先に、僕なら芸術で行動ができる未来が来たらいいなという思いで作った作品です。
特撮なので「芸術戦士アクティオン」というヒーローが出てきます。名前の由来は「行動する」を意味するactとaction、僕の地元・浜松にある施設「浜松アクトタワー」です 。
―ヒーロースーツが特徴的ですね。
段ボールに厚紙をはって、ビニールテープに固定して作っています。若干もろいです……。撮影に2日間かけたのですが、1日目でボロボロになってしまい、修正が大変でした。
アクティオンの体つきは、芸術・美術に関わる画材をモチーフにしています。例えば肩の飾りは「目玉クリップ」。武器は、絵を乾かすときなどに使う「ドライヤー」型の銃です。
あえて悪役を自分で演じた
―誰が演じているんですか?
アクティオンが友人、怪人は僕です。撮影は友人に頼んでいます。
―中谷さんがヒーローを演じなかった理由は?
ヒーローと悪を対決させるときに、ヒーローがものすごくかっこよくてもいいのだけれど、悪役が派手に倒されたほうが、ヒーローが強そうに見えますよね。僕が体を張って怪人をやったんです。
ちなみに撮影したのは8月。真夏にヒーロースーツをかぶっているので、どちらも体を張っていると言えば張っているのですけどね!
―セリフが声でなく、漫画の吹き出しにした理由は?
プロの声優ではないのでセリフを入れたらちょっと違うなと。「むしろ漫画みたいにセリフを視覚化して入れるのはどうだろう?」と思いつき、試したら結構いい感じになりました。
仮面ライダー好き
―うまくいったところはどこですか?
僕は特撮のなかでも仮面ライダーが好きなんです。仮面ライダーっぽい演出にこだわりました。技を出すときの雰囲気が気に入っていて。作品には、仮面ライダーが好きな人が見たら「もしかして、これあのシーンじゃない?」ってニヤってしてもらえるようなシーンをちりばめました。
―どうすれば中谷さんみたいにすてきな作品を作れますか?
僕が言うのはおこがましいかもですが、やっぱり自分が好きな物をとことん追求することだと思います。僕なら映像。その中でも特撮が好き……と掘り下げていきました。
競う敵が少なくて「自分自身が出せる」場所を見つけて、試してみて、広げてみると良いのではないでしょうか。