中西美和さん(愛知・名古屋西高校3年)の彫刻作品「眼差し」(まなざし)を紹介します。大迫力のリアルなライオンの姿を表現、全国高校総合文化祭(清流の国ぎふ総文2024)の美術・工芸部門に出品されました。どのように制作したのか聞きました。(写真・学校提供)
「群れを見守る雄ライオン」にひかれて
― 作品のテーマを教えてください。
テーマは、タイトルと同じく「眼差し」です。ライオンの写真集を見ていたときに、群れを見守る雄ライオンの姿が印象に残り、表現したいと思いました。「この生き物のパワーを表現するにはどうしたらよいか」と悩み、顧問の先生に相談。「立体」での制作をすすめられ挑戦しました。
「一目見た時に印象に残るのは目だ」と思い、眼光に注目。目元から、雄ライオンが家族を見守る眼差しを感じ取ってほしいです。
―こだわったり工夫したりしたポイントはどこですか?
まるでその場にいるかのような迫力を出すために、リアルさを追求しました。動物園でのスケッチや、インターネット、図鑑からたくさんの角度の写真を集め、その都度、形態を確認しながら細かく正確に制作。目や鼻に光沢を工夫したり、色をつける際にさまざまな色を使って質感を出したりして、よりリアルに見えるように仕上げました。
チラシと粘土でたてがみを表現
―難しかった点、苦労した点はありますか?
難しかったのはたてがみの再現です。先にチラシで芯を作り、そこに粘土を盛って作りました。そうしてできた毛束を頭部に接着していきました。毛束が少し足りなかったり、毛のふわふわな質感を出すのが難しかったりと、かなり苦労しました。完成してもまだ満足いく出来にはなっていないので、もっと別の技法もあったのではと思います。
―制作中、印象に残っているエピソードはありますか?
美術部では、作品の提出期限の締め切りが近い10〜11月頃になると、外が暗くなるまで制作します。学校は名古屋市の中心部・名古屋駅に近いので、暗くなると校庭からビル群の夜景が見えます。本当にきれいです。1日の作業が終わった後に見ると「今日も頑張ったな」と思えるので、この景色がとても好きです。
また、「絶対に全国総合文化祭に出品してやるぞ」という思いがありました。去年は出品できず悔しくて、「今年こそは絶対に出品したい」と思い頑張って制作しました。
―よい作品を作るためのコツを教えてください。
顧問の先生に「よく見て描く、作る。それを支えるのが、気迫と個性を信じることだ」とよく言われました。実際に、多くのスケッチや写真を用意し、細かく確認しながら作ったので、リアルさや満足いくディテールを追求できました。ものの構造の理解はとても大切なので、よく見て観察して作ることが最大の近道なのかなと思います。