壷内七穂さん(愛媛・今治南高校3年)のアクリル画「さんま」を紹介します。サンマをリアルに描いたこの作品は、全国高校総合文化祭(清流の国ぎふ総文2024)の美術・工芸部門に出品されました。どのように制作したのか聞きました。(写真・学校提供)
サンマの目が持つ「虚無感」に魅かれ
― 作品のテーマを教えてください。
サンマの色やつやの美しさ、サンマの目が持つ虚無感に魅力を感じ、この作品を描こうと考えました。サンマの持つ美しさの中に、生きているのか死んでいるのかわからない、何かがありそうで何もないといった、隠された「虚無」をイメージしました。
―こだわったり工夫したりしたポイントは?
サンマのウロコや目元など、色味が絶妙に変化しているところをよく観察し、皮膚の生々しさを表現しようと努力しました。絵をずらすことによって画面に変化を与え、単調にならないように工夫しました。
緻密に描きこみ微妙な色合いを表現
―難しかった点、苦労した点は?
絵のサイズが大きいため、密度を上げてしっかりと描きこむことが大変でした。サンマの微妙な色合いを表現し、リアルに描きこむことなど、技術面でも苦戦しました。
―制作中、印象に残っているエピソードを教えてください。
描き始めた時期が遅く、文化祭も重なったため、夜まで制作を続けていました。その分部活の友人たちと一緒にいる時間が長くなり、仲が深まったと感じています。友人とアドバイスをし合うことで、画力の向上にもつながったのではないかと思います。
―よい作品を作るためのコツはありますか?
何かモチーフがある場合、写真だけでなく、実物を見ることで理解が深くなり、絵の解像度が上がったと実感しました。絵の具を水(油絵の場合は油)で薄めて、絵の全体に重ねるグレージングをして、また描きこむことで絵に統一感が出ます。