人気声優の梶裕貴さんに高校生記者がインタビュー。高校生から寄せられた「夢をかなえるため高校生のうちに取り組むべきことは?」という質問に、全力で答えてもらいました。(取材・荒井さちこ=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・西村満)
とにかく心を動かして
―高校生からの質問です。「夢をかなえるため、高校生のうちに『これだけは頑張っておいた方がいい』ことはなんですか?」
難しいことは考えず、とにかく高校生活を満喫しちゃってください。今しかない高校生の時間を全身で感じながら、心を動かして過ごすことが何より大事。青春を謳歌(おうか)してほしいです。
青春を謳歌するというのは、毎日を明るく楽しく盛り上がれ、という意味だけではなくて、ネガティブな感情を抱いたり、鬱屈(うっくつ)とした時間を過ごしたりする時間も含んでの表現です。たとえその瞬間はマイナスに思えてしまう出来事であっても、後から振り返れば、高校時代にしかできない貴重な経験だったりしますから。
中高生時代の経験が演技に生きてる
―梶さん自身も充実した中高生時代を過ごしたことが、声優の今につながっていると感じていますか。
そうですね。僕は中学生のころに「声優になりたい!」と思い、高校生になってすぐ具体的に行動を起こしました。まさに夢に向かってまっしぐらな学生時代だったと思います。
僕は、声優の仕事について、年齢や性別など、あらゆる垣根を越えられる職業だと思っています。たとえ自分の年齢が40~50歳になっても、学生役を演じる機会はたくさんあります。そして、そこでの表現のベースになってくるのは、間違いなく学生時代での経験値。さまざまなかたちで青春を謳歌したからこそ、何歳になってもリアリティーのある中高生役を演じることができるのだと考えています。
キャラの変化を声の高さや質で表現
―4月から放送のTVアニメ「王様ランキング 勇気の宝箱」では、主人公の異母弟で第二王子・ダイダを演じます。ダイダの声は、どのように作り上げていったのですか。
前作中盤からダイダは、“(ボッジとダイダの父親の)ボッス状態”となるので、僕としては実質2役を演じているような感覚でしたね。表面的には“ボッス状態“のダイダの声でありつつ…しっかりと彼の本質を自分の中で理解し、キープした上で、終盤もどってきた時のダイダとズレがないよう丁寧に作っていきました。
今作では、僕自身も気になっていた、(前作からの)登場人物の関係性の変化がみられるエピソードも描かれています。さまざまな体験を経て成長したダイダを表現するため、声の高さや質、まとう雰囲気に変化をつけるといった新たな演技に挑戦しました。
―声の高さや質をどのように変化させたのでしょうか。
今作では、すでに“ボッス状態”から戻っているので、声質もダイダの実年齢に近い高さをイメージしながら演じました。加えて、彼は精神面で大きな成長を遂げたので、まだまだ発展途上でありつつも、どこか頼もしい雰囲気や王たる風格を感じてもらえるような表現を心がけましたね。
それから、相手との関係性で変わってくるであろう"声の温度感"みたいなものも意識しました。母上、兄上、妻、それから、子供たちや兵たち。それぞれ会話をする対象によって変化する声色にも意識を向けていただけるとうれしいです。それぞれに向ける、“ダイダなりの愛”の違いをぜひ感じてください。
【取材後記】視野を広げ何事にも挑戦したい
インタビューを通して受けた梶さんの印象は「丁寧」と「誠実」。一つ一つの質問に本当に丁寧に答えていただいたので、肩の力が少し抜けてインタビューできました。中高生時代から、声優になるために本当に誠実に頑張ってきたんだろうなと思いました。
今回の話で印象に残ったのは、梶さんの「視野を広くする」という助言でした。高校生だからこそ、梶さんが言うように、可能性を一つの選択肢に絞らずに何事にも挑戦したいと思いました。(高校生記者・荒井さちこ=2年)
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かじ・ゆうき
1985年9月3日生まれ、東京都出身。2004年に声優デビュー。主な声の出演作は、アニメ「進撃の巨人」シリーズ(エレン・イェーガー役)、「七つの大罪」(メリオダス役)、「僕のヒーローアカデミア」(轟焦凍役)ほか多数。映画・ドラマや舞台出演など多方面で活躍中。
TVアニメ「王様ランキング 勇気の宝箱」
王子のボッジ(声・日向未南)は生まれつき耳が聞こえず、言葉も話せず、剣もまともに扱えないほどの非力の持ち主だったが、初めての友だち、カゲ(声・村瀬歩)と友情を育みながら、王にふわしい人物へと成長を遂げた。本作では、異母弟のダイダ(声・梶裕貴)はじめ、ボッジを取り巻く人々たちのエピソードも語られていく。フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて毎週木曜24:55~放送中
(C)十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング 勇気の宝箱」製作委員会