中学・高校生活は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】塾に入るべきか迷っている

私は週5日活動する運動部に所属しているため、高校生になってからは塾に入っていませんでした。しかし周りの友人が塾に通い始めたことで、「自分も大学受験対策のためにそろそろ通うべきなのか」と迷っています。

大学受験対策のため、そろそろ塾に通うべき?(写真はイメージ)

模試で英語の成績が伸びないことが悩んでいて……。志望校は決まっていて、学校推薦か自己推薦で行きたいと考えていますが、現状では一般入試も視野に入れています。

でも、学校の課題と部活と塾の全てをこなす自信はなく、全てがおろそかになってしまう気がしています。私はどうしたら良いのでしょうか?(高校3年女子・アリス)

まずは情報を整理しよう

こんにちは。石田勝紀です。週5日運動部で頑張っているなんてすごいことです。しかも勉強についてもしっかり意識を持っているということだけで、君はすでに素晴らしいと思います。でも高校3年生にもなると、受験のことを考えれば考えるほど、悩みは募りますよね。そこで、始めに情報を整理しましょう。

  • (1)大学に行くことは決めている
  • (2)学校推薦または自己推薦が第1希望で、一般受験は第2希望
  • (3)部活は続ける(ただし夏ごろには引退?)
  • (4)受験英語が伸びず心配
  • (5)塾には入っておらず、入ると全てが中途半端になるという懸念

学校推薦または自己推薦を意識しているということは、学校のテストをこれまでしっかりと受けて、成績をある程度取ってきたのではないかと思います。

受験勉強には特別な対策が必要(写真はイメージ)

しかし、受験勉強となると学校の勉強が基礎になっているものの、それだけでは確かに不十分です。初めて見る文章で問題が作られるのですから、特別な対策をとって慣れていく必要はあります。対策はとりますが、それを塾に行くことで対策をとるのか、それとも自分で行うのかという二者択一の選択になります。

学校を利用する方法もある

しかし、ここで第三の提案です。それは学校を利用するという方法です。塾に行くことも悪くはありませんが、アリスさんは学校の授業中心でこれまで頑張ってきたと思います。そこでそれをさらに利用していく方法をとります。

まずは先生に今の状態を伝えて(写真はイメージ)

具体的には次のような行動を取ってみてください。学校の英語の先生に、「模試の英語の伸びがいまいち」という今の自分の状態と、気持ちを伝えます。そして、学校の勉強以外に、模試の英語(受験英語)を伸ばすために何をしたらよいか質問します。

次に、どのような計画で受験英語を進めたらよいか先生のサポートを受けてください。1週間に一度など、定期的に先生にまとめて質問するようにしてください。

塾なしでの難関大合格者はたくさんいる

大学受験では予備校や塾に行くことが主流のような考え方があります。しかし、塾に行かずに難関大学と言われる大学に合格する生徒は全国にたくさんいることはあまり知られていません。

塾に行かず東大に合格する人もいる

例えば、東京大学で地方出身の学生と話をしたときに、予備校や塾に全く行かずに東大に合格したと何人からも聞きました。「ではどうやって受験勉強を乗り切ったのか」と聞いたところ、皆、「学校が特別にやってくれた」「学校の先生を利用した」と言っていました。近くに予備校や塾がなかったという理由もあると思いますが、予備校や塾に行かずとも受験は乗り切れるのです。というか予備校や塾に行っても伸びない子もいるので、行けばよいというものでもありません。

学校の先生にサポートしてもらえれば、学校の課題や部活の状況も勘案しながら、先生はアドバイスしてくれると思います。高校3年であれば、進路指導の先生にも大学受験についての情報を聞きに行ってください。丁寧に教えてくれます。

ということで、部活も、学校も、受験勉強も全てを乗り切っていくことができると思います。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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