井上哉人さん(千葉・幕張総合高校3年)の写真作品「空中散歩」を紹介します。真っ赤な夕焼けをバックに、さかさまになった人間がまるで散歩をしているようなこの作品は、第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)の写真部門に出品されました。どのように撮影したのか聞きました。

空中散歩(第46回全国高等学校総合文化祭 写真部門出品)

空中で回った瞬間を収める

―作品のテーマを教えてください。

テーマは「羽を伸ばす」です。自分は趣味でアクロバット系のスポーツをしています。そのつながりで他校に友達ができ、アクロバティックな動きを使えばとても自由な、羽を伸ばしている写真が撮れるのではないかと考えモデルになってもらいました。

この写真は空中でただ回るのではなく、足を開いてまるで散歩をしているような感じにしました。「物理法則にとらわれることなく、好きなように生きられるんだ」という思いを込めて作品を制作しました。

―こだわったり工夫したりしたポイントは?

撮影中に工夫した点はできるだけローアングルから撮ること、逆光にして被写体をシルエットにしたことです。編集中は海、砂浜、空の割合をバランスよくするように切り取り、空の色をきれいにするよう工夫しました。

―難しかった点、苦労した点を教えてください。

ローアングルで撮ろうとした際、地面にうつぶせになりながら撮ったことが大変でした。被写体が一番高くきれいに飛んでいる瞬間を撮るのが難しかったです。編集の面では被写体をシルエットにするようにしたところと、空の色の調整がとても大変でした。

「光と背景」への意識が上達のコツ

―撮影中、印象に残っているエピソードはありますか?

この作品を作った日、最初は空の美しさなどを気にせず普通に撮ろうとしていました。しかし途中でものすごく空がきれいになり……。友達と2人で「空がきれい!」と興奮しながら写真を撮ると、それまでに撮ったことのないような良い写真が撮れてとても盛り上がったのが印象的です。

―よい作品を作るためのコツ、上達するためにおすすめの練習方法を教えてください。

「光の入れ方や背景をきれいにする」と意識することと、メインの被写体の前にある物をぼかす「前ボケ」を活用することがコツだと思います。そのために、いろんな場所にいろんな小道具を持っていき撮影をすることが上達への道です。