中学・高校生活は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】自宅学習の習慣をつけるには

私は、家で勉強をする習慣がつきません。家に帰るとすぐスマホや漫画を見てしまいます。自習室は学校にないので利用できません。図書館も家の近くにはありません。友達と勉強しても、結局しゃべってしまいます。どうすれば周りの誘惑に流されず勉強することができますか?(中学2年女子・もも)

スマホや漫画の誘惑に負け、家で勉強できない…(写真はイメージ)

勉強習慣をつける目的を考えよう

こんにちは。石田勝紀です。なかなか勉強の習慣がつかないという気持ちよくわかります。ももさんは、自分のその状況が「良くない」と思っている段階で、すでに1歩前進していると思います。勉強の習慣化にはいくつかコツがありますが、その方法の前に2つ質問です。

まず、ももさんの「勉強の習慣をつける目的」はなんですか? 確かに勉強の習慣化は大切ではありますが、それは何のために習慣化するのでしょうか。おそらくテストで点数が取れるようになること、成績が上がること、さらには受験で合格することではないかと思います。ということであれば、漫画やスマホを見ても、テストで点数が取れればいいわけで、漫画やスマホが問題ではないかもしれません。

勉強の習慣をつける目的は?(写真はイメージ)

そもそも勉強方法を知ってるか?

次の質問です。ももさんは、勉強方法を知っていますか? 勉強には方法があります。例えば、テスト前ではない平常期間は、数学だけは日々コツコツとやります。しかし、数学は定期テスト前の勉強期間ではほとんどやりません。この時期に数学をやっている子は、全教科点数が悪いと思います。この期間は知識系の科目、英語、理科、社会などに全力投球する期間です。また英語は音読20回から勉強をスタートさせますが、音読をしないでテストに臨むとした場合と比べて20~30点下がります。

このように勉強には方法があります。高得点を取る子は、平常は宿題+数学ぐらいで、テスト10日前ぐらいから猛烈に計画を立てて正しい勉強法で勉強しています。なお勉強法がわからなければ学校の先生に聞いてもらってもいいですし、筆者も「中学生の勉強法」(石田勝紀著)という本を出しているので、図書館で借りてください。

行動計画を紙に書き出す

さて、では勉強の習慣化のお話です。まず大切なことは、自分の行動の「見える化」をすることです。つまり行動計画を紙に書き出すということです。「何時に、どこで、何をやるのか」を明確にします。

「“どこで”も必要?」と思うかもしれませんね。通常は「いつ」「何を」だけです。しかし大切なことは、「どこでやるのか」まで決めることです。自宅でも自分の部屋か、寝転がりながらか、リビングか。リビングでもどの席かが大切です。人は科目によって集中できる時間と場所があります。ですからまず調査してみてください。

いつ、どこで、何をやるのか明確にしよう(写真はイメージ)

親にスマホや漫画を預けて集中

さて、ここが大切なのですが、計画はその通りにまず進みません。ですから、日々修正をしていきます。計画通りに進まない理由はいくつかあります。例えば、「やる量が多すぎた」「見込みより時間がかかった」「集中できなかった」「なかなかやる気が起こらない」などです。ももさんの場合は、スマホや漫画が“誘因”なので何とかしなければなりません。

計画は日々修正する

そこで、もし、ももさんが上記のことを本気でやりたいのであれば、親に次のように話をしてください。「これから勉強する予定なんだけど、スマホと漫画が気になってできなくなるので、○時まで預かってほしい」と。

本気でやるのであれば言えると思います。親はもちろん協力してくれることでしょう。そして勉強が終わったら、計画に入れてある「スマホ・漫画」時間に使えばいいでしょう。

日々の勉強はそれほど長い時間やらないことです。長いとやる気が出ません。短くてもいいので、やったという実績を積み上げていきます。ですから、土日も入れます。するといつの間にか習慣化しています。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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