雨の日の登校を楽しくしたい。そんな思いから洗足学園高校(神奈川)の1年生グループ4人は、傘による発電システムを開発し、雨滴から得た電力を提供するビジネスを考案した。一体どのような仕組みで雨滴から発電ができるのか、ビジネスに込めた思いを聞いた。(文・写真 中田宗孝)

雨が降ると傘から発電

「雨の日の登校が楽しくなる。天気予報の雨マークの日を笑顔にできる!」

そんな思いを込め、洗足学園高校の4人は「雨滴発電ビジネス」を考案した。発電シートを取り付けた傘と、傘からの電力を貯めて送電する機能を担う専用の傘立てを開発。この「雨滴発電セット」を、学校など大勢の人が集まる施設に販売するプランだ。

「雨滴発電ビジネス」を発表した4人

傘の表面にプリントされた発電シートに雨が滴ると発電され、生じた電力は傘の先端部に埋め込んだ小型の蓄電池に一時貯められる。「この傘を専用の傘立てに入れると、電力が回収されます」(小宮山莉子さん)

傘立てに集まった電力は、送電用の電線を経由し、校内施設の照明や生徒たちのスマホ充電への使用を想定しているという。

誰もが驚く発電方法を探す

昨年の夏休み前から放課後やオンライン上で計画を練ってきた。「自分たちの学校で使えるような身近なビジネスを考える中で発電のアイデアが浮かびました」(橋本あやさん)

誰もが驚くような珍しい発電方法を探したところ「雨滴発電」に関する記事を見つけて、「これを学校で応用できないか模索し、傘を使って発電させることを思いついたんです」(富士川紗世さん)

雨滴発電の仕組みをプレゼン

雨滴発電の研究に取り組む大学教授に協力を依頼したが、一度は断られてしまう。「傘を人々の生活にもっと役立てたい! 雨の日の通学が楽しくなるようなビジネスにしたい!」。そんな彼女たちの熱意が伝わり、大学教授から協力の承諾を得られたという。

「教授からはオンライン上で雨滴発電について詳しくうかがいました。研究者の視点から実用化のための技術的な課題も教えていただき、自分たちのビジネスプランの助けになりました」(柴崎碧衣さん)

全国大会に出場し高評価

1月、高校生たちがビジネスのアイデアを競う「第10回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)の最終審査会の場で、傘を使った雨滴発電ビジネスの概要を発表。審査の結果、同大会ファイナリストに選ばれた10校の中から3校に与えられる「審査員特別賞」を受賞した。