高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】計画倒れにならない計画の立て方
私は計画を立てるのが大好きです。「定期テストのための勉強計画(2・3週間分)」や「模試の結果開示から次の模試までの計画(大体2・3カ月分)」「長期休暇の勉強計画(課題と自主勉強)」などをスケジューリングしています。
ですが、計画崩れになることが多いのが悩みです。1日で完成するはずの計画が終わらず、結局計画初日から崩れていきます。どうしてもやらなければならないものは日曜日などにやって相殺して立て直しますが、後回しにしやすいものは先送りになり計画はなかったことに……。Googleスプレッドシートを使って、やるべきことを書き出し、各教科ごとに大体1日にどれくらいすれば良いかを割り出し、用事のある日ない日などで調整していきます。各教科ごとに立て終わったら全体を見て、全教科合わせても無理のないようにできているかを考えているのですが、計画の段階で「できる」と感じても、実際はできないことが多いです……。
計画を素早く立てるコツと、崩れない計画にするためのコツを教えてもらいたいです。(Kumino・高校1年女子)
はじめまして。石田勝紀です。これまで4000人以上の小中高生を指導してきましたが、ここまで計画を作る生徒はほとんどいませんでした。まず、それだけで素晴らしいと思います。ただ、問題は計画を作って計画倒れになるということですね。これもよく起こります。そこでKuminoさんには計画の立て方と続け方のコツについてお話しします。
デジタル管理だと自分を追い込みがちに
計画は次の5つのステップが大切です。
- (1)全体像を作る
- (2)1週間単位で作る
- (3)1日単位を作る
- (4)チェックする
- (5)修正する
まずはじめに、「全体像を作る」ということについて。Kuminoさんの場合、Googleのスプレッドシートで書き出しをしているということですが、一度試して欲しいことが、「紙」に書き出すという作業です。
デジタル管理も悪くありませんが、ひょっとしてそれを紙のスケジュールにするだけで計画が進むかもしれません。デジタル管理の場合、思ったよりも予定を詰め込んでしまって自分を追い込んでしまうこともあります。ですから全体像を紙に書き出し、さらにそれを細分化して、最終的に紙のスケジュール表に手書きで書き込むということをしてみてください。
「隙間時間」でカバーしよう
次に、計画を「1週間単位で作る」「1日単位で作る」ことについてお話します。おそらくこなせない理由の一つとして、たくさんのことをスケジュールに入れすぎていることが考えられます。計画を作る時は、バッファと言って、隙間時間を作っておきます。ですから、時間がかかってもその隙間時間でカバーできるようにしておくことです。
そしてもう一つ大切なことは、一日の勉強のスタートはなかなかやる気が起こらないので、やる気がでる“作業”から入ります。その“作業”はやってもいいと思えるものです。例えば、私が中学生のとき、学校から家に帰ってきて、なかなかやる気が出なかったので、「漢字」の練習から始めることにしました。漢字の問題集を買ってきて1日1ページで時間にして10分程度です。私にとって漢字の問題集を解くのは勉強という感じではなく字の練習程度の感じだったので、すんなりとやれたのです。
私の場合は漢字でしたが、人によっては数学が良かったり、英語の音読が良かったり、または机の整理整頓が良かったりします。つまり、何か勉強関係の行動の1歩が取れればいいのです。するとそこから行動の歯車が回り始めてその後もスケジュール通りはかどります。
消し込み作業でやる気維持
「チェックをする」という意味は「消し込み作業」をすることを言います。終わったことを赤ペンで消し込みしてみてください。人間は赤で消していくと、「やっつけた!」という感覚が出てきて、達成感が出てくるものです。これは数々の生徒に試してみましたが、効果が大きかった方法です。スケジュール管理は、「やる気」が大切なので、そのためには「達成感」を一つ一つ作っていくといいでしょう。
計画通りはあり得ない
「修正する」ということは今、Kuminoさんにとって一番大切なキーワードかと思います。計画を作り、その通りに進むということはまずあり得ません。計画通りに進んでいたら、ちょんぼしていたのではないかと思われるほど計画はその通りいかないのが普通なのです。しかし、計画があることで修正ができるのです。そのために計画が必要なのです。
修正は1週間単位で行います。ですからできないことがあったら翌日にスライドしたり、週末で行うようにします。そのため週末は時間を大幅に空けておきます。もしそれでも、終わらなかったら、翌週の計画作りに入れ込みます。
こうして修正、修正の連続で進んでいきます。ですからバッファを入れたり、週末は時間を空けておくことをします。それで吸収するためです。
これでもいっぱいいっぱいになるのであれば、(1)→(2)の部分で問題があります。もっと量を減らすか、重要部分のみをまずは終わらせるという優先事項を見直してみてください。これでスケジュールはうまく進んでいくと思います。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。