中学・高校生活は交友関係が広がる分、悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた悩みに答えてもらいました。
-
【お悩み】先生が一部の生徒をひいきする
学校に一部の生徒をすごくひいきをする国語の先生がいます。例えば、授業中の発表でひいきしている生徒を何回も当て、鑑賞文や詩を書いたときにはその子の作品をクラス全員の前でやたらと褒めるなどです。
発表時に当てる生徒が偏るのは先生も人間なので、仕方がないとは思います。ですが、私が挙手した際、先生はいったん私の名前を呼んだのにも関わらず、ひいきしている生徒が手を挙げているのに気づいたら「やっぱり〇〇さん」と……。そういうことが何度かありました。みんな授業態度で成績を上げようと頑張っているのに、これでひいきされている子たちの成績が上がるのでは、たまったものじゃありません。
正直言って、ひいきされている生徒は、特別頭が良かったり努力家だったりするわけではないと思います。成績も真ん中かそれ以外です。ただ、その子たちは学年の中で俗に言う「一軍」のようなポジションにいる子たち。先生はそんな生徒に好かれたいのでしょうか?
うわさなので信ぴょう性に欠ける部分はありますが、ひいきしている生徒には、「ここ絶対テストに出すから」とこっそり教えたとか。その子も本気にはしていなかったそうですが、本当にその問題が出たそうです。私の周りの子も、その先生はひいきが過ぎるとよく言っていますが、先生と対立するほど、あまり波風は立てたくありません。(中学3年生・女子・みみ)
みなさんも「ひいき」については、少なからず見聞きしたことがあると思います。よい印象は持てないでしょうし、自分が損してしまうと非常に困ります。一方で相手が先輩や先生など目上の人であると言いづらい面もあります。これからも経験するであろう「ひいき」をどう考えるとよいのでしょうか。
周りの人に意見を聞いてみる
まず気をつけたいのは、「ひいき」だと判断することです。私たちがある場面を見て「ひいき」と思うのは自分の見え方なので、勘違いもあります。おかしいと感じたら、その場にいる人がどう思うのか聞くこともおすすめします。多面的に考えられますし、そう思うのは自分だけじゃないと分かったときは、モヤモヤした気持ちが楽になったりします。
「ひいき」が教育の場であるのは残念なことですが、人が集まる場には必ず生じると言っていいでしょう。学校は前向きに行動する人が認められる、「ひいき」に左右されない場であってほしいので、多くの人が「ひいき」と思う行為は正してほしいと思います。
信頼できる大人に相談してみて
しかし一方で、働きかけることで相手との関係が悪くなることもあり、避けたくなる気持ちにもなります。相手にどう働きかけるか、よく考えたいところです。
そう考えると、その状況が分かって、一緒に具体的な行動を考えられる、信頼できる大人へ相談してみることもおすすめします。第三者が働きかけた方が、話が進むこともあります。
多くの人が「ひいき」と感じる場合、その人を信用できないと思う人も相応にいるはずです。そうなると「ひいき」をしている人はいつの間にか信用を失います。その人が教える立場であれば、致命的なことになるでしょう。
自分自身が目指すものを見失わないで
また「ひいき」されている人も、状況が悪くなるリスクがあります。人間関係ほど微妙なものはないので、バランスがちょっと崩れれば悪化することもあり得ます。「ひいき」は公になればなるほど、そのバランスは崩れやすくなるでしょうし、人の目を気にするようになれば抑止力にもなります。そう考えると、多くの人が知る状況にすることも一つの対処法なのかもしれません。
ただ、私が中高生の皆さんにおすすめしたいことは、「いまの環境で、自分はどんなことができるといいのか、何を目指すのか?」を日頃から思い出すことです。自分のことは一番大切です。自分の目指すものに、より多くの気持ちと時間を費やすことが大切ではないでしょうか。自己実現に向けて全力疾走してほしいと思います。応援しています!
大倉さんに相談したいお悩みを募集します
編集部では高校生の読者のみなさんの「心の悩み」を募集しています。
どんなことで悩んで、何を知りたいか、今はどんな状況なのかをLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に送ってください。
メッセージの最初に「大倉さんへの相談」であることと、学年・性別・ペンネーム(希望者のみ。お名前・アカウント名は掲載しません)を明記してください。相談に回答できない場合もあります。記事で紹介させていただく場合は編集部から連絡します。
※記事にする際は、読者の方に読みやすく、分かりやすくするために、投稿の趣旨を変えない範囲で短くしたり、表現や表記を添削させていただく場合があります。
大倉智徳さん
おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務