クラスや部活など、「合わない」と感じる人はいますか? 臨床心理士でスクールカウンたセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「苦手な部員と距離を取ったら顧問に責められた」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】相性が合わない人と距離を取ったら顧問に責められた

部活が同じAという友達がいます。部活や普段の生活でAとはあまり合わず、ストレスを感じることが多いので、徐々に距離を取りました。すると、突然顧問から呼び出され、Aとの関係を元に戻すよう言われました。

合わない人と距離を取ったら顧問に呼び出された(写真はイメージ)

私はAとの関係を他の友達に相談していたのですが、それも悪口だろうと責められてしまいました。私の行動は間違っていたのでしょうか。(あひる・高校2年女子)

集団生活では「合わない人」と付き合う必要が…

人が多く集まると、相性が合わない、苦手な人は一人はいるでしょう。合わない人とは、いつの間にか話さなくなり、接点が少なくなることが多いように思います。

しかし、クラスや部活動であると、一緒に行動しなければいけない時もあるため、距離を取るのが難しい場合もあるでしょう。

距離を取ったのは「間違っていない」

今回のお話で、あひるさんからは「自分の行動は間違っていたのか」という言葉がありましたが、私は間違っていたとは思いません。相性が合わず、ストレスを感じる場面が多いとしたら、仲良くすることに無理が生じたり、衝突したりもあるでしょう。距離を取るのがよい場合もあります。

距離を取ったことは間違いではないよ

ただ、気を付けておきたいのは、「どういう距離の取り方をするのか」。はっきりとした正解がないため、自分が距離を取る行動を相手がどのように受け取るのかは、考えておいた方がよいと思います。

「いじめ」を疑ったのかも?

特に気になったのは、Aさんと顧問の先生の間でどういった話になったのか、です。一つの仮説ですが、顧問の先生はAさんの話を聞いて、「避ける」「無視する」など、「Aさんに対するいじめ行為があるのではないか」と思ったのではないかと考えられます。

学校はいじめに対して敏感です。いじめを受けている生徒を守るためにも、その姿勢は必要だと思います。そして、いじめが起きている状況を早急に解消させるためにも、話に出てきた生徒たちに話を聞くことがあります。仮説を基に考えると、あひるさんが突然呼び出されたのも想像がつきます。

顧問は話をしっかり聞いてくれた?

もう一つ気になったのは、顧問の先生はどの程度、あひるさんの話を聞いてくれたのか。想像ですが、もしかして顧問の先生は、あひるさんの話をしっかり聞いてくれなかったのではないでしょうか。

話を聞いてもらえなければ関係改善も難しい

そうだとしたら、非常に残念です。それでは本当の意味で、Aさんとあひるさんの関係がどういった状態なのか分からないでしょうから、関係改善など見込めないでしょう。あひるさんもなぜそんな話になるのか、納得できなかったと思います。

信頼できる先生に改めて相談してみて

誤解が生じ、このまま自分が悪い立場になっているのは、とても悔しいですよね。私としては、あひるさんが信頼できる先生に、改めて今回のことも含めて話をしてみたり、自分がどういう行動を取ればよかったのか相談してみたりするのをおすすめしたいと思います。

Aさんのことや学校の様子が分かる大人である方が、よりイメージが付きやすく、具体的なアドバイスが出てきやすいと思います。

信頼できる先生に改めて相談してみて(写真はイメージ)

「私はどう感じているか」表現してみて

もし、相談することになったならば、一つだけ気を付けてください。「Aさんは~」という表現が多くなってしまうと、聞いた人によっては「悪口を言っている」と感じる場合もあると思います。

「私はAさんと付き合うと、〇〇と感じてしまう」という表現をして、どういうストレスを抱えているのか、どう行動したらよいのかを相談してもらえるといいと思います。

これからも友人関係をより楽しくするために、困ったときには工夫をした話し方で相談してもらえればと思います。

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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