高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】部活と勉強を両立が難しい
部活と勉強の両立が難しく困っています。平日月曜~木曜日の放課後18時45分頃まで、金曜日は17時まで自主練。休日練習は土曜午前中です。午前補習、午後部活になることもあります。平日は帰宅後ご飯やお風呂を終え、勉強を始められる時間が早くて20時半。夜は遅くとも日付が変わる前には寝たいので、最大限勉強時間を確保できても3時間半です。
担任の先生からは「平日は最低でも2時間、休日は3時間半以上勉強しましょう」と言われ、勉強時間を平日3時間、休日5時間を目指しています。しかし、実際には部活から帰ってくると知らぬ間に寝落ち。なかなかこの目標を達成できていません。
部活も勉強も、どっちも全力でやりたいんです。ですが、部活で疲れて寝てしまって勉強が思うようにいかなかったり、反対にテスト前やテストで勉強に集中する期間が長くなると、部活が始まった時にすぐに疲れてしまいます。勉強も部活も両立できるようになるために、どう行動を変えればよいでしょうか?(高校1年女子・P.N.わになみ)
まず、このような相談をしていることが素晴らしいです。通常は、部活か勉強のいずれかを捨てることが多い中で、勉強も部活も全力でやりたいという気持ちを持っている段階で、すでに今後伸びていく素質があります。
地頭の良さだけでは両立できない
どのようにすればいいかというお話の前に、あるエピソードについてお話します。私の高校時代のことです。友人であるA君は野球部に入っていました。毎日朝練、暗くなるまでの放課後練習、さらに土日は当たり前のように練習試合が入り、定期テスト前も試合が近いということで、場合によっては練習が入るときもあります。その彼の学力はどうかというと学年トップクラスです。その後、彼は現役で難関大学に合格していきます。
このような話を聞いて、A君はもともと出来が良く、自分とは地頭のレベルが違うと思う人もいるかもしれませんね。しかし、地頭が良いということだけで片付けられないのです。なぜならいくら地頭が良くても、勉強しなければ点数は取れませんし、大学に合格することはできないからです。
授業中に理解、疑問点を残さない
高校時代に、彼にどうやって勉強しているのか聞いたことがあります。どうしていたと思いますか? 一言で語ると「勉強できる場を有効活用する」ということです。具体的には2つあります。
1つは、学校の授業中に理解し、わからないことはその場で先生に聞き、その日のうちに解決させるということです。もちろん、1回聞いただけでは忘れてしまうこともあるので、聞いたことはメモを取り、記録に残します。彼は塾にも予備校にも行く時間がないので、学校の授業を有効活用したのです。
別の知り合いから聞いた話にこういうこともあります。その彼は予備校にも行かず東大に現役で合格したのですが、その彼が勉強のコツとして話をしていたのが、「学校の授業をしっかりやって、わからないことを解決するようにしただけ」というものです。実は、ここが非常に大切で、学校の授業中は、部活はできません。ですから、勉強できる時間帯を有効活用すれば確実に力がついていくのです。
スキマ時間をフル活用
「勉強できる場を有効活用する」2つ目は、スキマ時間を活用したということです。例えば、テスト前に野球の試合がある場合、試合会場に向かう道中、試合が始まる前、休憩時間のちょっとした合間に、覚えなければならない勉強をやっていたようです。単語カードに書いてあることを覚えるなど、短い時間でできることはいくらでもあります。
実は、このようなスキマ時間を活用するという手法は、仕事のできるビジネスマンの共通点でもあります。仕事のできる人は、上手に時間を活用しています。ですから、まとまった時間がとれなくても、2分、3分でできることをやってしまえば、それが積もり積もって1時間分、2時間分になっていきます。
最少の時間で最大の効果を
担任の先生から「平日は最低でも2時間、休日は3時間半以上勉強しましょう」という話しがあったようですが、それはあくまでも一つの目安ということで、その時間数だけ“やらなければならない”わけではありません。最も効率的なのは、最少の時間で最大の効果を出すことです。時間数だけ多くても集中していなかったり、ダラダラしていたりしたら効率性が低くなり、実際は勉強していないことと同じになります。ですから、上記のような方法を取った方が確実に学力は上がるのです。
この方法であれば、部活も全力、勉強も全力でできます。しかも楽しいと思います。以上2つの点をぜひ取り入れてみてください。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。