生理にまつわる悩みは、周囲の人にはなかなか相談しにくいもの。でも、不安があるときは一人で抱え込まないことが大切です。思春期外来を担当する産婦人科医の「サッコ先生」こと高橋幸子先生に、読者からの質問に答えてもらいました。(安永美穂)

「超低用量ピル」で回数減らせる

―高校生からの質問です。「生理がとても煩わしく、いっそのこと完全に止めてしまいたいと考えています。この考え方は間違っているのでしょうか? 生理を止めるメリットとデメリットを教えてほしいです。生理を完全に止めるにはどのような方法があるのでしょうか?」

「生理を完全に止めてしまいたい」と思う背景には、「毎月の生理痛がつらい」「トランスジェンダーで生理があることに違和感がある」など、さまざまな事情があることでしょう。それぞれの事情に基づくさまざまな思いには「これが正解」「これは間違っている」ということはないと思います。

「生理を止めたい」思いに正解や不正解はない

生理を完全に止めることはできませんが、超低用量ピルを使えば生理が来るのを4ケ月に1回にすることは可能です。生理の回数を減らすことができれば、生理を煩わしく思う気持ちも軽減されるかもしれないので、婦人科か産婦人科で相談してみてほしいです。

ミレーナは次の段階の選択肢

積極的におすすめはしませんが、ミレーナという小さなT字型の避妊リングを子宮内に装着すると、ミレーナから放出される黄体ホルモンの働きで生理が止まることがあります。ただ、ミレーナは出産経験がない人が装着しようとすると痛みを伴うことがあり、年齢が若い人は装着しても生理が止まらないことの方が多いです。選択肢として使えなくはないですが、高校生の皆さんの第一選択としてはおすすめできません。

生理を止める方法を正しく理解しよう

子宮筋腫や子宮内膜症などの病気がある場合は、注射や薬を使って生理を止めることで病気の進行を遅らせたり、子宮の摘出が検討されたりすることもあります。ただ、これらは治療を目的とするものであり、病気ではない人が生理を止めることを目的として行うものではありません。

体の仕組みとしては、子宮を摘出すれば生理が来ることはなくなりますが、妊娠することもできなくなります。

 
高橋 幸子さん 
たかはし・さちこ 1975年生まれ。埼玉県出身。産婦人科医。埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター所属。同大学病院産婦人科で思春期外来を担当。年間120回以上、全国の小・中・高校などで性教育の講演を実施している。