NHK大河ドラマ「ゆかりの地」にある高校が、大河ドラマにちなんだ黒板アートを制作し競う「アフター大河バトンプロジェクト黒板アートグランプリ」が12月17日、永楽館(兵庫県豊岡市)で行われる。出場する5校の作品を紹介する。
黒板アートの制作動画を撮影
「アフター大河バトンプロジェクト黒板アートグランプリ」は、「大河ドラマの舞台となった地域の盛り上がりを、ドラマ放送後も持続させたい」と、「麒麟(きりん)がくる」の舞台・福知山にある福知山高校(京都)の生徒が主体となり、企画した。出場校は黒板アートの制作過程を動画で撮影し、構図や地域の魅力をどう表現したかなどを競う。
過去と未来をつなぐ麒麟の姿
麒麟がくる(京都・福知山高校)
「麒麟がくる」(2020年放送)がテーマ。明智光秀を、古代人と現代人が挟むようにして麒麟にまたがり、過去から未来へのつながりを表現。朝焼けの市街地を駆ける麒麟の姿に、将来への希望、福知山の魅力が凝縮されている。陰影にもこだわり、麒麟の迫力を描いている。美術部員と美術部卒業生がデザインのアイデアを持ち寄った。廃校の黒板を利用して制作したそうだ。
戦国時代の夕焼けに思いをはせ
麒麟がきた(兵庫・柏原高校)
「麒麟がくる」がテーマ。モチーフは地元の「黒井城跡」山頂の夕暮れ。「麒麟がくる」の放送が丹波市にもたらす影響を探る授業の一環でこの山に登ったそう。夕日のまぶしい斜光が差し込む山頂で、戦国時代に見えたであろう眺めに思いをはせる……そんな男女2人の生徒が太陽に向かってたたずむ情景をパノラマサイズで撮影し、黒板アートに仕上げた。
上へと昇りつめる躍動感描く
白雲を突き抜ける渋沢栄一翁(埼玉・深谷商業高校)
「青天を衝け」(21年放送)がテーマ。白雲を突き抜ける渋沢栄一の姿をモチーフとし、上に向かって昇りつめていく躍動感を描いた。黒板アートは「間違ったところを気軽に消せる」メリットがある一方で、「重ね塗りをすると色が落ちてしまう」などデメリットもあったという。黒板アートの性質に苦戦しながらも、工夫を重ね理想の作品を作り上げた。
未来感じる朝日が昇る鎌倉
鎌倉 由比ヶ浜、日射る(神奈川・鎌倉女学院高校)
「鎌倉殿の13人」(22年放送)がテーマ。朝日が昇る鎌倉の由比ヶ浜と流鏑馬(やぶさめ)をモチーフに、矢が太陽を貫き「鎌倉から未来を切り開く」様子を表現。流鏑馬は鎌倉時代に源頼朝が催行した武芸で、今も鶴岡八幡宮で行われている。作品はドラマのオープニングの雰囲気を参考にしたそう。戦乱の世を生きる武士の力強さ、緊張感を伝えたいという。
2人がもし夫婦散歩できたら
夫婦散歩(兵庫・出石高校)
「八重の桜」(13年放送)がテーマ。作品に描かれる明治元年は、鳥羽・伏見の戦いや戊辰戦争など多くの争いがあった。激動の時代に壮絶な人生を歩んだ八重。もし八重と尚之介(八重の1人目の夫)が尚之介の故郷、出石を訪れていたら、作品のような桜の景色を見ることができたかも。そんな思いが込められた黒板アートだ。