生理にまつわる悩みは、周囲の人にはなかなか相談しにくいもの。でも、不安があるときは一人で抱え込まないことが大切です。思春期外来を担当する産婦人科医の「サッコ先生」こと高橋幸子先生に、読者の高校生からの質問に答えてもらいました。(安永美穂)

眠気は妊娠に向けた体のサイン

高校生からの質問です。「生理中は眠気がひどくて授業にも集中できず、周囲に『不真面目になった』とか『なぜやろうとしないのか』など誤解されてしまいます。眠気を覚ます方法はありますか? また、痛み止めで和らぐものですか?」

生理中の眠気って、自分の気の持ちようだけではどうにもならないものですよね。私も経験があるので、すごくよくわかります。

授業中に眠くなってしまう(写真はイメージ)

生理中に眠くなるのは、女性ホルモンの影響によるものだと考えられます。女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があり、このうち眠気に関係しているのはプロゲステロンです。プロゲステロンは排卵から生理までの時期に多くなるホルモンで、体をいつでも妊娠できる状態にして、妊娠した場合には妊娠を持続できるようにする働きをしています。

プロゲステロンは体を妊娠しやすい状態にするために、体温を上げて、体を休ませようとします。どうしたら体を休ませることができるかというと、たくさん眠ることができれば体は自然と休まりますよね。生理前から生理中にかけて感じる眠気は、「妊娠に備えて体を休ませてくださいね」という、女性ホルモンからのサインなんです。

痛み止めでは目が覚めない

痛み止めの主な働きは、脳が痛みを感じにくくしたり、筋肉を収縮させて痛みを引き起こす物質の生成を抑えたりすることです。女性ホルモンをコントロールすることはできないため、眠気に対しての効果は期待できません。

ホルモンの増減の波を抑えるには、低用量ピルが効果的です。低用量ピルを飲むことで、眠気が楽になることもあります。眠気がひどくて困ってしまう場合はぜひ婦人科か産婦人科で受診してくださいね。

規則正しい生活でリフレッシュ

低用量ピル以外の眠気対策としては、日中は日光をしっかり浴びて、夜は早めに眠るというメリハリのある生活を心がけることが大切です。日中にどうしても眠いときは、お昼休みなどに10~15分程度の仮眠をとるという方法もあります。ただし、長時間寝てしまうと生活リズムが乱れて夜の寝つきが悪くなってしまうので気をつけてくださいね。

 
高橋 幸子さん 
たかはし・さちこ 1975年生まれ。埼玉県出身。産婦人科医。埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター所属。同大学病院産婦人科で思春期外来を担当。年間120回以上、全国の小・中・高校などで性教育の講演を実施している。