生理にまつわる悩みは、周囲の人にはなかなか相談しにくいもの。でも、不安があるときは一人で抱え込まないことが大切です。思春期外来を担当する産婦人科医の「サッコ先生」こと高橋幸子先生に、読者の高校生からの質問に答えてもらいました。(安永美穂)

痛みの緩和は薬に頼ろう

高校生からの質問です。「毎月の生理のたびに痛み止めを飲んでいたらいつか効かなくなるんじゃないかという不安があり、飲むのをためらって、生理痛がひどくなってしまうことが多々あります。痛み止めを飲むのは悪いことなのでしょうか」

生理痛は我慢する必要のない痛みです。痛み止めを飲むのは悪いことではありません。

ただ、「病気ではない生理痛」と「病気が隠れている生理痛」があるので、その違いから説明しますね。

生理痛の種類って?(写真はイメージ)

生理のときは、子宮内膜という組織からプロスタグランジンという物質が分泌されて、この物質が子宮の筋肉をギューッと収縮させて経血を押し出そうとします。「病気ではない生理痛」は、このときの痛みなんですね。

痛み止めには、子宮内膜でプロスタグランジンがつくられるのを抑える成分が含まれているものもあり、「これから痛くなりそうだな」という早めのタイミングで飲む方が効果的です。

痛み止めは早めに飲むとGood

痛み止めを早めに飲んでも効かない、生理痛が年々どんどんひどくなる場合は、子宮内膜症などの「病気が隠れている生理痛」の可能性があるので、婦人科か産婦人科で受診してほしいです。

そのままにしておくと、将来妊娠しづらくなるおそれもあるので注意してくださいね。

痛み止めは効き目が穏やかなものから

―続いての質問です。「痛み止めは種類が多くて、どれを選べばいいのかわかりません」

15歳未満から服用できるアセトアミノフェンという成分が主に含まれている薬は「脳が痛みを感じにくくする薬」で、効き目は比較的穏やかです。アセトアミノフェンから飲み始めてみて効果がない場合は、プロスタグランジンの生成を抑えて痛みを和らげる効果が期待できるイブプロフェンやロキソプロフェンといった成分を含む薬に切り替えるとよいでしょう。ただし、これらの成分を含む薬は胃腸障害などの副作用が出ることもあるため、空腹時を避けて飲むようにします。

薬の種類はさまざま。副作用にも注意しよう

初めての薬を飲む際には、アレルギー体質の人や基礎疾患がある人などは注意が必要なことも。できれば婦人科で受診し、医師から薬を処方してもらうと安心です。薬の用法・用量は必ず守ってくださいね。

ドラッグストアなどで市販の痛み止めを購入する場合は、自分の症状や体質を薬剤師に伝えて、どの薬を選べばよいか相談を。市販の痛み止めには複数の成分が含まれているものも多いので、「胃を守る成分を含むもの」「眠気が出る成分が入っていないもの」といった希望があれば伝えるといいでしょう。

抗炎症作用の強いロキソプロフェンの市販薬でも効かなかったり、1カ月に4回以上使用したりする場合は、我慢せずに婦人科で受診してください。

運動やお風呂でも痛み和らぐ

―次の質問です。「生理がつらくても、痛み止めを飲むと授業中に眠くなってしまうので飲むことができず、だるさが続いてしまいます。痛み止めを使わずに生理痛を抑える方法はありますか?」

痛み止めを使わずに生理痛を我慢する必要はありません。市販の痛み止めなら、眠気が出る成分を含まないものに変えるという選択肢もあるので、薬剤師に相談を。もちろん、婦人科で受診するのもおすすめです。

腰をひねる運動やおなかを温めることが効果的(写真はイメージ)

セルフケアとしては、腰をひねる運動をして骨盤内の血流をよくする、お風呂にゆっくりつかる、腹巻きをする、おなかの上からカイロを貼る、冷たい飲み物や食べ物は控えるなどして、体を温めると痛みが和らぎやすくなりますよ。

 
高橋 幸子さん 
たかはし・さちこ 1975年生まれ。埼玉県出身。産婦人科医。埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター所属。同大学病院産婦人科で思春期外来を担当。年間120回以上、全国の小・中・高校などで性教育の講演を実施している。